Süß ist's,mit Gedanken gehn Op.33 Die schöne Magelone |
何と甘美なことか 思いつつ進むことは 美しきマゲローネ |
Süß ist's,mit Gedanken gehn, Die uns zur Geliebten leiten, Wo von blumbewachsnen Höhn Sonnenstrahlen sich verbreiten. Lilien sagen: »Unser Licht Ist es,was die Wange schmücket«; »Unsern Schein die Liebste blicket«: So das blaue Veilchen spricht. Und mit sanfter Röte lächeln Rosen ob dem Übermut, Kühle Abendwinde fächeln Durch die liebevolle Glut. All ihr süßen Blümelein Sei es Farbe,sei's Gestalt, Malt mit liebender Gewalt Meiner Liebsten hellen Schein, Zankt nicht,zarte Blümelein. Rosen,duftende Narzissen, Alle Blumen schöner prangen Wenn sie ihren Busen küssen Oder in den Locken hangen, Blaue Veilchen,bunte Nelken, Wenn sie sie zur Zierde pflückt, Müssen gern als Putz verwelken, Durch den süßen Tod beglückt. Lehrer sind mir diese Blüten, Und ich tue wie sie tun, Folge ihnen,wie sie rieten, Ach! ich will gern alles bieten, Kann ich ihr am Busen ruhn. Nicht auf Jahre sie erwerben, Nein,nur kurze,kleine Zeit, Dann in ihren Armen sterben, Sterben ohne Wunsch und Neid. Ach! wie manche Blume klaget Einsam hier im stillen Tal, Sie verwelket eh es taget, Stirbt beim ersten Sonnenstrahl: Ach,so bitter herzlich naget Auch an mir die scharfe Qual, Daß ich sie und all mein Glücke, Nimmer,nimmermehr erblicke. |
(この詩はブラームスの歌曲集では取り上げられておりません) 何と甘美なことか 思いつつ進むことは われらを愛する人のもとに導いてくれるのだと そこでは花咲き乱れる丘の上に 太陽の光が広がっているのだ ユリの花たちは言った:「私たちの光なのです あの頬を飾るのは」と 「私たちの輝きを恋する人は見つめるのよ」: そんな風に青いスミレは語る すると穏やかな深紅のほほ笑みと共に バラたちはこの大騒ぎを 涼しい夜風が扇げるかと思う 愛の赤熱を通り抜けて あらゆるお前たち 愛らしい花よ 色がどうであれ 形がどうであれ 描き出してくれ その愛の力で わが最愛の人の明るい輝きを 言い争いは止めだ 可愛い花たちよ バラたちが 香り高いスイセンが すべての花たちが一際美しく輝くのは 彼女の胸にキスする時か その巻き髪に挿される時だ 青いスミレも 色とりどりのカーネーションも 彼女に飾りとして摘まれる時は きっと嬉しいはずだ 彩りとして萎れても 甘い死を喜んで 師匠なのだ 私にはこの花たちは 私はしたいのだ 彼らのする通りに 彼らに従うのだ その助言の通りに ああ!私は喜んですべてを投げ打とう 彼女のあの胸に安らげるのなら 何年もは願わぬ 彼女を得ることに いや わずかな ほんの少しの時間だけで そうしたら彼女の腕の中で死のう 死ぬのだ 欲望も嫉妬もなく ああ!何と多くの花たちが嘆いているのか 孤独にこの静かな谷間で 彼らは萎れるのだ 朝が来る前に 死ぬのだ 最初の太陽の光のもとで ああ あまりに苦しくこの心を苛むのだ 私にとっても激し過ぎる苦痛が 私には彼女も あらゆる幸せも 決して、決してもう見られないのだという苦痛が |
第16章「旅路を行く騎士(Der Ritter auf der Reise)」
その頃、プロヴァンスにいるペーターの両親は息子から連絡がないのに心痛めておりました。そんな折、館に届けられた大きな魚に料理人が包丁を入れたところ、中からペーターに持たせた三個の指輪が出て来たのです。きっと神さまは息子を見捨ててはおらず、いつか自分たちのもとに帰ってくることを確信した二人でした。
一方ペーターの乗った船は新鮮な水を補給するために小さな無人島に立ち寄り、そこに全員が上陸しました。ペーターもまた上陸し、島の一番奥の花畑のところに腰掛けるとマゲローネのことが思い出されてきます。彼は昔作ったこんな歌を歌って、過ぎ去った恋の思い出をしのぶのでした。
なかなか良い詩ですが、14曲目で決然と歌ったあとにはちょっと座りが悪い歌になりそうですからブラームスがカットしたのもよく分かります。
( 2016.03.21 藤井宏行 )