TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Bonjour Suzon    
 
こんにちは シュゾン  
    

詩: ミュッセ (Louis Charles Alfred de Musset,1810-1857) フランス
    Poésies posthumes  Chanson: Bonjour Suzon

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: フランス語


Bonjour Suzon,ma fleur des bois!
Es-tu toujours la plus jolie?
Je reviens,tel que tu me vois,
D'un grand voyage en Italie,
Du paradis j'ai fait le tour;
J'ai fait des vers,j'ai fait l'amour.
Mais que t'importe?
Je passe devant ta maison;
Ouvre ta porte.
Bonjour,Suzon!

Je t'ai vue au temps des lilas.
Ton coeur joyeux venait d'éclore.
Et tu disais: “je ne veux pas,
Je ne veux pas qu'on m'aime encore.”
Qu'as-tu fait depuis mon départ?
Qui part trop tôt tard revient trop tard.
Mais que m'importe?
Je passe devant ta maison;
Ouvre ta porte.
Bonjour,Suzon!

こんにちはシュゾン 森の中のぼくの花よ!
君はまだ一番きれいかい?
ぼくは戻ってきた 君に会うために
はるばるイタリアを旅して
パラダイスを通ってぼくはやってきたんだ
ぼくは詩を書いてきた 恋もしてきたさ
だけどそんなことどうでもいいだろう?
ぼくは君の家の前に来たんだ
ドアを開けてくれよ
こんにちは シュゾン!

ぼくは君と会った リラの花咲くときに
君の明るい心はちょうど咲き初めたばかりだった
そして君は言ったんだ :「あたしはまだ
あたしはまだ誰からも愛されたくないわ」って
君は何をしてたんだい ぼくが去ってからは?
あまりにも早く去り あまりにも遅く戻ってきた男が
だけどそんなことぼくは気にしないよ?
ぼくは君の家の前に来たんだ
ドアを開けてくれよ
こんにちは シュゾン!


昨日取り上げた さよならシュゾン (1880) の姉妹編ともいえるミュッセの詩、こちらは再会のシーンです。ミュッセが30代にたまたま知り合った女性のことを題材にいくつかの愛の詩を書いていますがそのうちのひとつです。
フランス人の手になる歌曲ではドリーブが書いたものが洒落た味わいで素敵でしたが、イタリア人ではありますが見事なフランス語歌曲をいくつも書いているトスティのこの曲も素晴らしい曲です。詞の最後の「ボンジュール」の前の溜めなどため息が出るほど見事。フランス歌曲としてもっと広くレパートリーもなっても良いのにと思うのですが、トスティのフランス語作品、フランス語歌曲を歌うひとたちが取り上げることがほとんどないものですから大部分が知られざる作品と化してしまっています。
この曲もまた、マッテウッツィの「トスティのフランス語歌曲集」で初めて聴くことができました。とても情感たっぷりに歌っていて好感が持てます。

( 2016.02.24 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ