Philine Lieder nach Gedichten von J W von Goethe |
フィリーネ ゲーテ歌曲集 |
Singet nicht in Trauertönen Von der Einsamkeit der Nacht. Nein,sie ist,o holde Schönen, Zur Geselligkeit gemacht. Wie das Weib dem Mann gegeben Als die schönste Hälfte war, Ist die Nacht das halbe Leben Und die schönste Hälfte zwar. Könnt ihr euch des Tages freuen, Der nur Freuden unterbricht? Er ist gut,sich zu zerstreuen; Zu was anderm taugt er nicht. Aber wenn in nächt'ger Stunde Süßer Lampe Dämmrung fließt. Und vom Mund zum nahen Munde Scherz und Liebe sich ergießt, Wenn der rasche lose Knabe, Der sonst wild und feurig eilt, Oft bei einer kleinen Gabe Unter leichten Spielen weilt Wenn die Nachtigall Verliebten Liebevoll ein Liedchen singt, Das Gefangnen und Betrübten Nur wie Ach und Wehe klingt: Mit wie leichtem Herzensregen Horchet ihr der Glocke nicht, Die mit zwölf bedächtgen Schlägen Ruh und Sicherheit verspricht. Darum an dem langen Tage, Merke dir es,liebe Brust; Jeder Tag hat seine Plage, Und die Nacht hat ihre Lust. |
悲しい響きで歌ったりしないで 夜に独りじゃ寂しいなんて ダメよ、夜はね、ステキな美人さんたち みんなで騒ぐためにあるんだから ちょうど女性が男性に与えられたように 最良のパートナーとしてね 夜は人生のパートナーなのよ それも一番のパートナー あなたたちは昼間に楽しく過ごせるのかしら 喜びを邪魔してるだけの昼に 気晴らしくらいならいいけれど 他には何もいいことはないでしょ けれど夜の時間に ランプの甘い火影が洩れて くちびるからすぐ近くのくちびるへと たわむれと愛とが注がれていく時や せわしなく浮気なキュービッドは いつもは激しく、大胆に急ぎまわってるのに ちょっとした贈り物で時々 ささやかな戯れに浸り込んだりする時 ナイチンゲールが恋する人たちに 愛をこめて歌を歌ったりする時 たとえそれが囚われ人や悲しみにくれる人には 嘆きの声にしかきこえなくても そんなときには軽やかな胸の鼓動で だれも鐘の音は聞こえないの 十二時のおごそかな鐘が 安らぎと憩いを約束することを知らせても だから長い昼の間には このことを覚えておいてね、愛しい胸よ 毎日 何かしらつらいことがあっても 夜には喜びがあるのよ |
『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』第五巻第十章。ヴィルヘルムの入り浸る旅の一座が「ハムレット」を上演するその前夜 ハムレット役を務めるヴィルヘルムはじめ一同が真剣な稽古に疲れて今や休もうかとしたときに、陽気なフィリーネは彼らの真面目さをからかうかのように愛らしくこの歌を歌い出すのです。
この詩にシューマンの描き出した世界も愛らしくて素敵でしたが、ヴォルフのメロディもお茶目でしたたかな彼女の姿が目に浮かぶような見事なもの。心地よいステップに乗せて軽やかに歌われて行きます。凄味があり過ぎて重たいミニヨンの3曲に続いて出て来るところが絶妙。次のミニヨンも合わせてこの女声5曲は続けてプログラミングされる人も多いですね。
( 2015.10.10 藤井宏行 )