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詩: アイヴズ (Charles Edward Ives,1874-1954) アメリカ

曲: アイヴズ (Charles Edward Ives,1874-1954) アメリカ   歌詞言語: 英語

...His meditstions are interrupted only by the faint sound of the Concord bell,A melody,as it were,imported into the wilderness. At a distance over the woods the sound acquires a certain vibratory hum as if the pine needles in the horizon were the strings of a harp which it swept...a vibration of the universal lyre,just as the intervening atmosphere makes a distant ridge of earth,interesting to the eyes by the azure tint it imparts.

He grew in those seasons like corn in the night,
rapt in revery,on the Walden shore,
amidst the sumach,pines and hickories,
in undisturbed solitude.

...彼の瞑想はコンコードの鐘の音によってのみ邪魔される メロディはあたかも荒野の中へと引き込まれていくようだった。遠くの森の向こうでは音はある種の振動の共鳴となる まるで松の針葉が地平線でかき鳴らされるハープの弦でもあるかのように...宇宙のリラの震えは ちょうど間にある大気が大地の遠い稜線を形成しているように 目を楽しませるのだ それが青空に与える色合いによって

彼はこの季節のうちに成長した まるで夜の唐黍のように
夢想に耽りながら ウォールデンの岸辺で
漆や松 胡桃の木々の間を

1915年の作品。この年にはアイヴズの代表作のひとつ、ピアノソナタ第2番が完成していますが、このピアノ曲のテーマであるマサチューセッツ・コンコードにゆかりの文人たち(エマーソン、ホーソーン、オルコット、ソロー)に各楽章を割り当てており、その最終章が「森の生活」を書いたこのソロー(Henry David Thoreau,1817 - 1862)となっています。歌曲はそれ繋がりで書かれたもののようで、このピアノソナタからの素材が断片的に織り込まれているとのことです。冒頭、ピアノが遠くから響く鐘の音を描写しているかのような不思議な和音を響かせる中、コンコードの鐘のことを言及したフレーズが語られ(語りは省略されることもあるようです)、そのあとに朗詠風のメロディでソローの暮らしを描写した4行が厳かに歌われます。これらはアイヴズがソローの代表作「森の生活 ウォールデン」の第4章「音 Sounds」の中から文の断片を自由に再構成したもののようで、冒頭の語りの部分はソローのエッセイの中間部分を編集、歌われる部分はソローのエッセイの比較的前の部分で「私」の一人称を「彼」に書き換えたものにしています。

Now that the cars are gone by and all the restless world with them,and the fishes in the pond no longer feel their rumbling,I am more alone than ever. For the rest of the long afternoon,perhaps,my meditations are interrupted only by the faint rattle of a carriage or team along the distant highway.
Sometimes,on Sundays,I heard the bells,the Lincoln,Acton,Bedford,or Concord bell,when the wind was favorable,a faint,sweet,and,as it were,natural melody,worth importing into the wilderness. At a sufficient distance over the woods this sound acquires a certain vibratory hum,as if the pine needles in the horizon were the strings of a harp which it swept. All sound heard at the greatest possible distance produces one and the same effect,a vibration of the universal lyre,just as the intervening atmosphere makes a distant ridge of earth interesting to our eyes by the azure tint it imparts to it. There came to me in this case a melody which the air had strained,and which had conversed with every leaf and needle of the wood,that portion of the sound which the elements had taken up and modulated and echoed from vale to vale. The echo is,to some extent,an original sound,and therein is the magic and charm of it. It is not merely a repetition of what was worth repeating in the bell,but partly the voice of the wood; the same trivial words and notes sung by a wood-nymph.

今 汽車はすべての落ち着きのない世界と一緒に去って行き 池の魚ももはやそのゴロゴロいう響きを感じなくなって 私はこれまで以上に一人になった。長い午後の残りには おそらく私の瞑想を妨げるのは遠く離れた道を行く馬車や牛の群れだけだろう。
時々日曜日に私は私は鐘の音を聞いた リンカーン アクトン ベッドフォード あるいはコンコードの 風向きが良いとかすかに心地よく そしてまるで自然なメロディのように荒野に染み渡る値打ちのあるものであった。森から十分に離れたところでは その響きはある種の震えるうなりを帯びることとなった まるで松の針葉が地平線でかき鳴らされるハープの弦のように。 最大限の距離を隔てて聞こえてくるすべての音はただひとつの同じ効果を生み出す 宇宙のリラの振動という ちょうど間にある大気が大地の遠い稜線を形成しているように 目を楽しませるのだ それが青空に与える色合いによって。こうして私のところにこの場合やってくるメロディは大気が濾過し 森のあらゆる広葉や針葉と共鳴して 自然の力が取り上げ 変化させ 谷から谷へとこだまさせた鐘の音の一部分だった。そのこだまはある程度まで原音のままであり そこにその魔法と魅力があったのだ。単に鐘の音で繰り返す価値があったものが繰り返しただけでなく 一部は森の声である。森のニンフによって歌われるのと同じ些細な言葉なのだ。

( 2016.02.07 藤井宏行 )

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