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Waltz    
 
ワルツ  
    

詩: アイヴズ (Charles Edward Ives,1874-1954) アメリカ
      

曲: アイヴズ (Charles Edward Ives,1874-1954) アメリカ   歌詞言語: 英語


Round and round the old dance ground,
Went the whirling throng,
Moved with wine and song;
Little Annie Rooney,
(now Mrs. Mooney,)
Was as gay as birds in May,
s'her Wedding Day.

Far and wide's the fame of the bride,
Also of her beau,
Every one knows it's “Joe;”
Little Annie Rooney,
(now J. P. Mooney,)
All that day,held full sway
o'er Av'nue A!
“An old sweetheart!”

回る 回る 古いダンスの旋回だ
過ぎて行った ぐるぐる回る一団が
移動していった ワインや歌と共に
リトル・アニー・ルーニーは
(今はミセス・ムーニーだ)
ゴキゲンだった 五月の鳥たちみたいに
彼女の結婚式の日には

辺り中に花嫁の名声は響く
そして彼女の美しさもまた
みんな知ってる あれは「ジョー」だと
リトル・アニー・ルーニーは
(今はJ. P.ムーニーだ)
その日の間じゅう 目一杯揺らされていた
Aアベニューの上で!
「懐かしの恋人よ!」


アイヴズ最初期の歌曲ということもあってか、大変に聴きやすいポップなワルツなのですが、やはり一筋縄では行かないのが彼の作品の面白いところ、この曲、作曲者が注釈に「glossing Michael Nolan (1867-1910)」とあり、調べてみるとこのミシェル・ノーランという人の書いた「Little Annie Rooney」という1910年の流行歌があるのですね。これ、幸いなことにYoutubeにアップされている人がいて聴くことができました。そのリフレインの部分は

She's my sweetheart,I'm her beau;
She's my Annie,I'm her Joe,
Soon we'll marry,never to part,
Little Annie Rooney is my sweetheart!

とあり、この曲にアイヴズの書いた詩自体がこの歌のパロディとなっているのですね。よくよく聴くと冒頭のピアノ伴奏のところにこのポップスのリフレインのメロディがさりげなく引用されていました。同じワルツなのでハマりが良かったところもあるのでしょう。アイヴズの歌はしかしながら昔の恋人が他人の花嫁となる結婚式の回想という、華やかな情景に反して悲しく切ない歌い手の心を実に見事に表出しています。
まだ尖がっていない頃の歌曲ということであまり顧みられることは多くないですが、とても素敵なアメリカ歌曲です。ぜひご一聴を。

( 2016.01.17 藤井宏行 )


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