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Der Schäfer    
  Lieder nach Gedichten von J W von Goethe
羊飼い  
     ゲーテ歌曲集

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
      Der Schäfer 

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Es war ein fauler Schäfer,
Ein rechter Siebenschläfer,
Ihn kümmerte kein Schaf.

Ein Mädchen konnt ihn fassen,
Da war der Tropf verlassen,
Fort Appetit und Schlaf!

Es trieb ihn in die Ferne,
Des Nachts zählt er die Sterne,
Er klagt und härmt sich brav.

Nun da sie ihn genommen,
Ist alles wieder kommen,
Durst,Appetit und Schlaf.

ぐうたらな羊飼いがおったとさ、
正真正銘の寝坊助で
羊なんか放っぽりっぱなし。

ある女の子がコイツのハートをとらえたらしい。
それからというもの、このお馬鹿さんときたら心ここにあらず、
食い気も眠気もそっちのけ。

わけも分からず遠いところまでやってきて、
毎晩星を数えては
ひどく嘆き悲しむ体たらく。

さて、女の子がコイツと一緒になるや
すべては元の木阿弥、
飲みてぇ、食いてぇ、眠てぇだとさ。

このイロニーとユーモアに満ちたヴォルフの歌曲はゲーテの詩への付曲を始めてから早いうちに作曲されましたが、同じ日(1888年11月4日)には対照的な「アナクレオンの墓」も完成しており、両極端な作風に瞬時に切り替えることの出来た当時の彼の楽想の豊かさがうかがえます。
ピアノのトリルはぐうたらな羊飼いを描写しており、第2節で恋に落ちてからはこのトリルが消えますが、曲の最後で羊飼いが元のぐうたらに戻ったところでトリルも再現しています。メーリケ歌曲集の「戒めに」での酔っ払いのトリルと通じるものがありますが、下降音形とつなげて、いかにもだるそうなものぐさぶりを上手く表現しています。
演奏はシュヴァルツコップ&ムーア(EMI:1961年)が老巧な演技力で楽しませてくれます。
F=ディースカウ&バレンボイム(DG:1974年)はピアノはいいのですが、歌はユーモアを持て余しているようでした。
ほかにマクグリーヴィー&ジョンソン(Hyperion:1999&2000年)やシュミットヒューゼン&パルム(Canterino:録音年不明)も女声ならではの繊細な語りで健闘していますが、やはりユーモアを歌で伝えるのはなかなか難しいようです。

( 2003.01.06 甲斐貴也 )


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