Melodrama Op.84 Musik zu Egmont |
メロドラマ(終幕) 劇音楽 エグモント |
Süßer Schlaf! Du kommst wie ein reines Glück ungebeten,unerfleht am willigsten. Du lösest die Knoten der strengen Gedanken, vermischest alle Bilder der Freude und des Schmerzes; ungehindert fließt der Kreis innerer Harmonien, und eingehüllt in gefälligen Wahnsinn, versinken wir und hören auf zu sein. |
甘き眠りよ!お前はやって来るのだ 純粋な幸せのように 乞われずとも 自発的に喜ばしく お前は解きほどく 厳密な思考の結び目を 混ぜ合わす 喜びと悲しみのあらゆる姿を 妨げられることなく流れるのだ 内面の調和の輪は そして心地よい狂気に包まれて われらは身を沈め 存在を止めるのだ |
第5幕大詰め、処刑を前にしたエグモントのモノローグです。歌われるわけではないですがここの部分だけ音楽にかぶせて語られる劇音楽の演奏もありますので取り上げて訳しておきます(アバド/ベルリンフィルのCDのライナーに従います また楽譜でもこの部分のみが記載されておりました)。
澄み渡った弦楽の響きの上で淡々と語られる台詞はなかなかに魅力的な場面を形づくります。
舞台ではこの独白の後、眠りにおちたエグモントの夢の場面となり、恋人グレールヒェンににた自由の女神が現れて、彼の死がオランダに自由をもたらすことを暗示し、目が覚めたエグモントは決然と処刑台へ向かう、という場面で幕となります。劇音楽全体の録音ではナレーターを起用する関係かこの夢の中の部分含めもっと延々とメロドラマ仕立てにしていることがほとんどですがこの部分のみをメロドラマとするのがベートーヴェンのオリジナルのようです。
( 2016.01.02 藤井宏行 )