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La cloche fêlée   Op.5-1  
  Quatre poèmes pour voix,alto et piano
ひび割れた鐘  
     声とヴィオラとピアノのための4つの詩

詩: ボードレール (Charles Baudelaire,1821-1867) フランス
    Les Fleurs du Mal - 1. Spleen et Idéal 74 La cloche fêlée

曲: レフラー (Charles Martin Loeffler,1861-1935) フランス→アメリカ   歌詞言語: フランス語


Il est amer et doux,pendant les nuits d'hiver,
D'écouter,près du feu qui palpite et qui fume,
Les souvenirs lointains lentement s'élever
Au bruit des carillons qui chantent dans la brume.

Bienheureuse la cloche au gosier vigoureux
Qui,malgré sa vieillesse,alerte et bien portante,
Jette fidèlement son cri religieux,
Ainsi qu'un vieux soldat qui veille sous la tente!

Moi,mon âme est fêlée,et lorsqu'en ses ennuis
Elle veut de ses chants peupler l'air froid des nuits,
Il arrive souvent que sa voix affaiblie

Semble le râle épais d'un blessé qu'on oublie
Au bord d'un lac de sang,sous un grand tas de morts,
Et qui meurt,sans bouger,dans d'immenses efforts.

それは苦々しいけれど甘美なことだ この冬の夜に
耳傾けるのは 弾けて煙る火のそばで
遠い記憶がゆっくりと浮かんでくるのを
鐘の音が霧の中で歌う中

幸せ者だな あの強靭な喉を持つ鐘は
年老いてはいるが 敏捷で 健やかで
敬虔に響かせているのだ その信心深い叫び声を
まるで老兵士が警備しているように テントの下で!

私の方は この魂はひび割れていて 倦怠のうちに
自分の歌で満たしたいと望んでも この冷たい夜の大気を
多くの場合 その弱々しい声は

似てしまうのだ 負傷兵のしわがれ声に 見捨てられている
血の湖のほとりに 死者たちの大きな山の下に
そして力一杯もがいても身動きできず死んでしまう負傷兵の


少なくとも日本では知られざる作曲家レフラーですが、世界的に見るとこの曲は結構Youtubeにアップされていて隠れた人気を誇っているようです。ピアノ伴奏の他にヴィオラのオブリガードが付くので演奏者を揃えるのが難しい分聴けることは少ないだろうと思ったのが意外でした。歌曲集の他の3曲はヴェルレーヌですが、この第1曲だけはボードレールの「悪の華」より。鐘の音を表すピアノと、おそらくは心の揺らぎを表している濃密なヴィオラのメロディに挟まれてつぶやくように歌う声(メゾかアルトが向いているようです)。歌声とふたつの楽器だけでとても深みのある世界が描き出されているのが印象的でした。
録音の生々しさもあるのでしょうが、たくさんある動画の中ではAndrea DelGiudiceという人の歌った2012年のライブが印象的でした。ヴィオラの音を野太く響かせて声と競わせるのがこの曲の場合とても大事なようです。

( 2015.12.31 藤井宏行 )


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