Lied des Unmuts Fünf Goethe-Lieder |
不機嫌の歌 5つのゲーテの歌曲 |
Keinen Reimer wird man finden Der sich nicht den besten hielte, Keinen Fiedler,der nicht lieber Eigne Melodien spielte. Und ich konnte sie nicht tadeln; Wenn wir andern Ehre geben, Müssen wir uns selbst entadeln; Lebt man denn,wenn andre leben? Und so fand ich's denn auch juste In gewissen Antichambern, Wo man nicht zu sondern wußte Mäusedreck von Koriandern. Das Gewesne wollte hassen Solche rüstge neue Besen, Diese dann nicht gelten lassen Was sonst Besen war gewesen. Und wo sich die Völker trennen Gegenseitig im Verachten, Keins von beiden wird bekennen, Daß sie nach demselben trachten. Und das grobe Selbstempfinden Haben Leute hart gescholten, Die am wenigsten verwinden, Wenn die andern was gegolten. |
そんな詩人が見つかるはずがあるまい 自分が一番だと思わぬような奴が ヴァイオリン弾きで望まぬ奴もおるまい 自作のメロディーを弾くことを さりとて奴らを責めることはできぬ 他人に栄誉を与えたならば 自分自身の地位を貶めることになるのだから 一体人は生きられるのだろうか 別の奴が生きている時に? そういうわけで 私は見つけ 気付いたのだ とある控えの間の中には まるで区別のできない連中がいるってことに ネズミの糞とコリアンダーの実の違いが かつて箒だったものは憎もうとする 丈夫な新しい箒のことを こっちの新しい方は考えられない 古びたのがどんな箒であったのかが そして 民族が別れ別れとなり お互いを軽蔑しているところでも どちらも決して白状はするまい 同じことをして争っているのだとは そして粗暴な思い上がりを 連中は激しく非難するが そいつらはたいてい我慢できないのだ 他人が成功することが |
西東詩集「不機嫌の書」より。R.シュトラウスのつけた歌曲集が有名ですが、この詩はそこには選ばれなかったものです。
なんだか今の世でもヘイトスピーチとかして悦に入っているような連中のことを言っているような、何年経っても人間は変わらないのだということをしみじみと感じ入らせてくれています。
ブゾーニのつけた曲は決然とした中にほんのりとユーモアもたたえてなかなかユニークです。
( 2015.12.30 藤井宏行 )