Die Nacht Gedichite von Eichendorff für eine Singstime und Klavier |
夜 アイヒェンドルフ歌曲集 |
Nacht ist wie ein stilles Meer, Lust und Leid und Liebesklagen kommen so verworren her in dem linden Wellenschlagen. Wünsche wie die Wolken sind, schiffen durch die stillen Räume, wer erkennt im lauen Wind, ob's Gedanken oder Träume? Schließ' ich nun auch Herz und Mund, die so gern den Sternen klagen: leise doch im Herzensgrund bleibt das linde Wellenschlagen. |
夜はまるで静かな海のようだ 喜びと悲しみと愛の苦しみが 穏やかな波のように まじりあって打ち寄せてくる 願いはまるで雲のように 静かに天空を渡ってゆく 暖かく吹く風の中でそれは 追憶なのか夢なのか見分けがつかない 星に苦しみを訴えたがる 心と口を今は閉ざそう: だが胸の奥ではひそやかに 穏やかな波が打ち寄せ続けている |
スペイン歌曲集シリーズを一服してアイヒェンドルフを訳してみました。メーリケの自然抒情詩に通じる雰囲気のある作品ですね。ヴォルフの作曲も主に詩に語らせて、ピアノは静かに打ち寄せる波や流れる雲といった背景を作り出しています。演奏はフィッシャー=ディースカウとボー・スコウフスを聴きました。F=D氏はいつもながらお見事ですが、期待の若手スコウフスも楽しめました。
( 2003.4.7 甲斐貴也 )
小説『詩人と仲間たち』の初稿の挿入詩ですが改訂時に外され独立した詩になっています。詩集でのタイトルは「夜の花」”Die Nachtblume”です。何故花なのかはわかりませんが、小説の物語に関係があるのでしょうか。
ヴォルフの曲は憂鬱な気分に覆われながらも美しい作品で、これも1897年の改訂時に外された曲のひとつですが、作曲者没後出版者が付録として復活したのも無理はないと思えます。
このような作品ではプライのような甘美な歌よりも、フィッシャー=ディースカウやスコウフス、ゲンツのシリアスな歌唱が生きてくるように思いますが、今回出来る限り聴いてみて一番印象に残ったのはバスのロベルト・ホル(プライザー)でした。この曲と詩の甘美と苦悩を共に生かした名唱だと思います。
( 2005.11.04 甲斐貴也 )