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War es dir,dem diese Lippen bebten   Op.33-7  
  Die schöne Magelone
それはあなたにだったのか この唇を震わせて  
     美しきマゲローネ

詩: ティーク (Johann Ludwig Tieck,1773-1853) ドイツ
    Liebesgeschichte der schönen Magelone und des Grafen Peter von Provence 8 War es dir,dem diese Lippen bebten

曲: ブラームス (Johannes Brahms,1833-1897) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


War es dir,dem diese Lippen bebten,
Dir der dargebotne süße Kuß?
Gibt ein irdisch Leben so Genuß?
Ha! wie Licht und Glanz vor meinen Augen schwebten,
Alle Sinne nach den Lippen strebten!

In den klaren Augen blickte
Sehnsucht,die mir zärtlich winkte,
Alles klang im Herzen wieder,
Meine Blicke sanken nieder,
Und die Lüfte tönten Liebeslieder.

Wie ein Sternenpaar
Glänzten die Augen,die Wangen
Wiegten das goldene Haar,
Blick und Lächeln schwangen
Flügel,und die süßen Worte gar
Weckten das tiefste Verlangen;
O Kuß,wie war dein Mund so brennend rot!
Da starb ich,fand ein Leben erst im schönsten Tod.

それはあなたにだったのか この唇を震わせて
あなたに この捧げた甘美なくちづけは?
この世の暮らしがこれほどの喜びをくれたのか?
ああ!何と光ときらめきは私の目の前で漂っていたことか
すべての思いはあのくちびるを求めていたことか!

その澄んだ瞳の中に輝くのは
憧れだ、それは私をやさしく差し招いている
あらゆるものが鳴り響く 心の中で再び
私の視線は下へと沈む
そしてそよ風が響かせるのだ 愛の歌を

一組の星たちのように
きらめく瞳、頬には
金色の髪がゆれている
まなざしとほほ笑みが羽ばたかせる
翼を そして甘美な言葉は
深い願望を目覚めさせたのだ
おおくちづけよ 何とお前の口は燃えるように赤いのか!
そこで私は死に 初めて人生を見出したのだ この最高に美しい死の中で


第8章「いかにしてペーターは美しきマゲローネのもとを訪れたか(Wie Peter die schöne Magelone besuchte)」
逢引きの時がやってきて、ペーターは誰にも見られないように乳母の部屋へと入って行きますとそこにはマゲローネが待っていました。二人はすぐにでも抱き付きキスしたい気持ちに駆られましたがそこはぐっと抑えて、二人とも顔を赤らめます。乳母が気を利かせて席を外しますが二人はしばらく黙ったままでしたが、とうとうペーターの方が今までの募る想いを語りだします。そして彼女に三つ目の指輪を自ら手渡すと、その手にくちづけをし、そして彼女を固く抱きしめたのでした。
お別れの時がきて、ペーターは自分の宿に戻ります。先程の逢瀬の余韻に浸りながら彼はこの歌を歌ったのでした。

とりあえず思いが遂げられた満足感から明るく満ち足りた歌ですが、心のときめきはちょっと不規則なリズムに現れて少々落ち着きのない印象も受けます。最後も派手に盛り上がることはなく、しみじみと終わります。

( 2015.12.17 藤井宏行 )


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