Hymn to Thaïs JS 97 |
タイスへの賛歌 |
Thaïs,once Helen,of Zeus begotten, unforgettable unforgotten, doom'd to pass deathless through new incarnations, ever the wonder of new generations. Thaïs,fair Thaïs,whose mystic smile still through ages us men doth beguile. Thaïs of Egypt and Helen of Troy, essence Olympic and earthly alloy. Who saw thee incarnate, shall ne'er forget Thee. Thaïs,I would that I never had meet Thee. |
タイスよ かつてヘレネであり ゼウスより生まし 忘れ難き者にして 忘れられることなき者よ 不死を過ごすことを運命づけられ 新しき輪廻を通じて 常に新しき世代の奇跡となる タイスよ 麗しきタイス その神秘的な笑顔は 時を超えてなおわれら男どもを惑わすのだ エジプトのタイスにして トロイのヘレネ オリンポスの精にして地上の合金なのだ そなたの生まれ変わりを見た者は皆 そなたを忘れることはできぬのだ タイスよ 私もそなたに会わねば良かったのだが |
1909年の作品。ピアノ伴奏による独唱歌曲としては唯一の英語の詩につけた歌曲です。もっとも詩を書いたのは同郷の友人でビジネスマン(詩人でもありましたがもっぱら母国語のスウェーデン&フィンランド語で書いていた)のボリストレームという人でしたので詩の出来はそんなによろしくはありません。音楽も威厳のあるなかなか良く書けたものではあるのですが、私にはどう聴いてもこれが英語の歌には聞こえず、あまり印象に残らない曲にはなっています。
マスネのオペラにもなっていておなじみのエジプトの美女タイスを讃える歌。したがってエキゾチックなアラビア(エジプトはアラビアではないですが)風のメロディとシベリウスのスタイルが奇妙に融合して、ちょっと不思議な響きの歌になっております。
( 2015.12.12 藤井宏行 )