So willst du des Armen Op.33-5 Die schöne Magelone |
それであなたはこの哀れな男に 美しきマゲローネ |
So willst du des Armen Dich gnädig erbarmen? So ist es kein Traum? Wie rieseln die Quellen, Wie tönen die Wellen, Wie rauschet der Baum! Tief lag ich in bangen Gemäuern gefangen, Nun grüßt mich das Licht! Wie spielen die Strahlen! Sie blenden und malen Mein schüchtern Gesicht. Und soll ich es glauben? Wird keiner mir rauben Den köstlichen Wahn? Doch Träume entschweben, Nur lieben heißt leben; Willkommene Bahn! Wie frei und wie heiter! Nicht eile nun weiter, Den Pilgerstab fort! Du hast überwunden, Du hast ihn gefunden, Den seligsten Ort! |
それであなたはこの哀れな男に やさしい情けをかけてくださるのですか? これは夢ではないのですか? 何という泉のさざめきでしょう 何という波の響きでしょう 何とあの木はざわめくのでしょう! 奥深くに 私は不安のうちに 壁に囲まれて捕らわれていました 今 私に光が挨拶をしてくれます! 何という光の戯れでしょう! それはくらませ 彩るのです 私の怖気づいた顔を 私は信じても良いのでしょうか? 誰も私から奪ったりはしないのだと このすばらしい幻影を 夢は飛び去って行っても ただ愛することだけが生きることなのだと 歓迎すべきこの道を! 何と自由なのだ 何と愉快なのだ! もう急ぐことはない 巡礼の杖は投げ捨てよ! お前は勝ち取ったのだ お前は見いだしたのだ この最高に幸せな場所を! |
第6章「いかにして騎士はマゲローネに指輪をさらに送ったか(Wie der Ritter Magelonen einen Ring übersandte)」
乳母はペーターにもう一度会おうと大変骨を折り、再び同じ教会で会うことができます。ペーターは乳母にマゲローネがどんなリアクションをしたのかを尋ね、乳母は包み隠さず彼女がペーターに心惹かれてしまっていることを話します。ペーターは嬉しさのあまりに頬を赤らめ、彼の持っているもう一つの指輪を乳母に言付けて、自分もまた彼女に恋い焦がれていることを伝えるのでした。乳母は急いで帰ってマゲローネにそのことを話し、そして指輪を渡します。愛の夢で見たことがほんとうになりました。
指輪には同じように手紙が添えられており、そこにはこのような詩が添えられていました。マゲローネはその詩を口ずさみ、そして指輪に口づけしました。前に貰った別の指輪にも。もう興奮して眠れません。夜が更けるまで彼女は詩を何度も読み返し、口ずさみ、そして指輪に口づけして過ごしたのでした。
第2弾のペーターからの手紙です。タイミングから考えるとペーターは最初のラブレターに対するマゲローネのリアクションを知らずにこの詩を書いているはずなのですが、まあそういう野暮なことは言いっこなしということでしょうね。好意を寄せてもらった彼の2回目のラブレター、おずおずと控えめな最初のもの(歌曲集の第3曲)に比べればだいぶん明るく力強いものではありますが、やっぱりかなり歯がゆいような控えめさです。それでもこういう控え目さはブラームスのスタイルには見事にはまっていますね。前の曲同様にこれもとても魅力的な歌になっています。訳ですが、前の曲と同じように最後は自分を鼓舞する自らへの呼びかけとなっていますので、マゲローネに語りかけている部分と口調を変えて訳しています。
( 2015.12.12 藤井宏行 )