野火 |
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野火がついた火がついた かざとうしの山へ火がついた あつたら たぬきがやけしんだ |
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信時の歌曲というと、概して重厚で貫録があるというイメージが強かったころ、この曲を初めて聴いたときは唖然としました。やけっぱちになったかのような速いテンポで、怒りまくっているような激しい声で、このわずか20秒足らずの短い作品が歌われると、何か作曲者が途方もないストレスを抱えていてそれを曲にぶつけているのではないか、と勘ぐってしまうぐらい強烈な歌だったのです。しかも作者不詳の歌詞がまた戯れ歌というか酔っ払いのたわ言というか、ナンセンスなシュールさがインパクト大。彼の作品の中でも極めつけの異色作ではないかと思いますけれども、それにしてはよく取り上げられます。Youtubeでも真面目に歌っているおじさんがいました。
( 2015.12.11 藤井宏行 )