Störchenbotschaft Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier |
コウノトリの知らせ メーリケ歌曲集 |
Des Schäfers sein Haus und das steht auf zwei Rad, Steht hoch auf der Heiden,so frühe,wie spat; Und wenn nur ein mancher so’n Nachtquartier hätt! Ein Schäfer tauscht nicht mit dem König sein Bett. Und käm ihm zur Nacht auch was Seltsames vor, Er betet sein Sprüchel und legt sich aufs Ohr; Ein Geistlein,ein Hexlein,so luftige Wicht’, Sie klopfen ihm wohl,doch er antwortet nicht. Einmal doch,da ward es ihm wirklich zu bunt: Es knopert am Laden,es winselt der Hund; Nun ziehet mein Schäfer den Riegel - ei schau! Da stehen zwei Störche,der Mann und die Frau. Das Pärchen,es machet ein schön Kompliment, Es möchte gern reden,ach,wenn es nur könnt’! Was will mir das Ziefer? - ist so was erhört? Doch ist mir wohl fröhliche Botschaft beschert. Ihr seid wohl dahinten zu Hause am Rhein? Ihr habt wohl mein Mädel gebissen in’s Bein? nun weinet das Kind und die Mutter noch mehr, sie wünschet den Herzallerliebsten sich her? Und wünschet daneben die Taufe bestellt: Ein Lämmlein,ein Würstlein,ein Beutelein Geld? So sagt nur,ich käm in zwei Tag’ oder drei, Und grüßt mir mein Bübel und rührt ihm den Brei! Doch halt! warum stellt ihr zu zweien euch ein? Es werden doch,hoff’ ich,nicht Zwillinge sein? - Da klappern die Störche im lustigen Ton, Sie nicken und knicksen und fliegen davon. |
その羊飼いの住む家は、二つの車輪に乗っかって 朝から晩まで荒野にすっくと立っている; こんな寝倉があったらと思わないやつはいない 羊飼いは王様のベットとだって取り替える気はない だから夜中にどんな怪しいことが起ころうが 決まり文句のお祈りをしてから耳をふさいで寝てしまう; 幽霊だろうが、魔女だろうが、風の精だろうが いくら戸をたたいても返事もしない しかしある時、本当にどうしようもないことになった 戸はガタガタ鳴り、犬はクンクン鳴きまくる; さあ我らが羊飼いがかんぬきを外すと、こりゃ驚いた! 雄と雌の、二羽のコウノトリが立っているじゃないか そのつがいは恭しくお辞儀をし 何か話したそうなのだが、ああ、それが出来たなら! いったい何しに来たんだい? 頼みごとでもあるのかい? もしや俺に嬉しい知らせの贈り物でもあるんじゃないかい? お前たちはライン川の向こうに住んでいるんだな? お前たちは俺の女房の脚を噛んだというわけだな? それで赤ん坊が泣いていて、その母親がもっと泣いていて、 愛しい人に帰ってほしいと願っていると言うのだな? そして洗礼を執り行なう段取りをつけて 子羊とソーセージと財布を用意しろというわけだな? ならば伝えてくれ、2、3日のうちに帰るからと そして俺の坊やにご対面、粥でも作ってやるからと! ちょっと待った! どうしてお前たちは二羽でやって来たんだい? まさか双子だって言うんじゃないだろうな? コウノトリたちはカタカタと嬉しそうに嘴を鳴らすと うなずいてお辞儀をしてから飛んでいった |
これは民謡調の素朴な詩ですが、今ひとつ意味のわからないところがいくつかあり、ネットサーフィンで調べてみました。五連目の「足を噛んだ」というのは、ドイツでは、妊婦が足を引きずって歩くということから、妊娠することを「コウノトリに足を噛まれた」と表現するのだそうです。最終節の「カタカタと嬉しそうに嘴を鳴らす」(「嘴」は訳者による付加)は、コウノトリは声帯が退化した鳴かない鳥で、そのかわりクラッピングと言って、嘴を小刻みに打ち合わせてカタカタと音を出すことで鳴声の代わりにし、求愛や威嚇といったコミュニケーションをとるという生態によるものです。原詩のドイツ語にはまさに”Klapper”という語が使われています。すると四連目の話したいのに話せない、というのも鳥だからという以外に、声の出せないコウノトリであることも引っ掛けてあるのかもしれません。
コウノトリが赤ん坊を運ぶという有名な伝説は主にドイツの中西部から広まったそうですが、直径2メートルほどの大きな巣を民家の屋根などの上に作り、つがいで仲睦まじく子育てに励むという人間の夫婦のような生態が古くから人々に親しまれ、縁起物として大切にされてきたのだそうです。おそらく詩人にとってもコウノトリのそういう生態は非常に身近なものだったのでしょう。
ヴォルフの作曲は民謡調のユーモラスなもの。比較的人気のある曲のようで録音はいろいろあります。中ではフィッシャー=ディースカウ&バレンボイムが、あざといまでの芸達者で楽しめます。
( 2004.8.12 甲斐貴也 )