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Erstes Liebeslied eines Mädchens    
  Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier
少女の初恋の歌  
     メーリケ歌曲集

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Erstes Liebeslied eines Mädchens

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Was im Netze? Schau einmal!
Aber ich bin bange;
Greif ich einen süßen Aal?
Greif ich eine Schlange?

Lieb is blinde
Fischerin;
Sagt dem Kinde,
Wo greift’s hin?

Schon schnellt mir’s in Händen!
Ach Jammer! O Lust!
Mit Schmiegen und Wenden
mir schlüpft’s an die Brust.

Es beißt sich,o Wunder!
Mir keck durch die Haut,
Schießt’s Herze hinunter!
O Liebe,mir graut!

Was tun,was beginnen?
Das schaurige Ding,
Es schnalzet dadrinnen,
Es legt sich im Ring.

Gift muß ich haben!
Hier schleicht es herum,
Tut wonniglich graben
Und bringt mich noch um!

網の中のものは何? ちょっと見て!
でもなんだか心配だわ
美味しいうなぎを掴むのかしら
それとも蛇を掴むのかしら

恋って目の見えない
漁師みたいね
まだ子供のわたしに教えて
どうやって掴めばいいの?

もうわたしの手の中で飛び跳ねてるわ!
ああ、泣き出したい! おお、でも嬉しい!
押したりくねったりして
するりとわたしの胸に入ってしまった!

それはわたしに喰らい付く、ああ、なんてこと!
厚かましくわたしの皮膚を食い破り
心の奥まで突き進んでくる!
ああ、これが恋? わたし怖いわ!

どうすればいいの? 何が始まるの?
その恐ろしいものは
わたしの中で舌を鳴らし
とぐろを巻いて身を横たえる

わたしに入ったのは毒に違いないわ!
それはわたしの中を這い回り
嬉しそうに喰い荒らして
やがてわたしを殺してしまうのだわ!

この詩、少女の体に食い込んでくる蛇というのがセクシャルな隠喩とも取れることから、既訳にはかなり際どいものもありまして、そのあまりの恥ずかしさにこれまで訳すのを躊躇していました。しかしいざ自分で訳してみると、そういう要素はあったとしてもあくまで潜在的なもので、乙女の初恋の怖れと喜びの詩として素直に訳すべきではないかと思いました。

ヴォルフの曲はコロラトゥーラ系ソプラノ向きの軽快で目まぐるしく表情の変わるもので、このやたら感嘆符の多い詩(第3連4行目は訳者による付加です)を見事に生かしていると思います。演奏はロット(英シャンドス)、グルベローヴァ(ソニー)、ツィーザク(独ハルモニアムンディ)が気に入っています。

( 2004.5.7 甲斐貴也 )


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