わすれなぐさ |
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ながれのきしのひともとは、 みそらのいろのみづあさぎ、 なみ、ことごとく、くちづけし はた、ことごとく、わすれゆく。 |
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明治時代に活躍した上田敏の訳詞集として有名な「海潮音」、その中の一篇で、原詩はドイツ語、今は忘れ去られているウィルヘルム・アレント(1864-1913?)という詩人のものです。オルガンの伴奏でも似合いそうな唱歌風の歌で、どこか懐かしい雰囲気です。
ネット上で原詩を見つけましたので、それと、上田訳の名調子と比較されると大変にお粗末ではございますが訳詞を載せます。
Vergißmeinnicht
Ein Blümchen steht am Strom
Blau wie des Himmels Dom ;
Und jede Welle küßt es,
Und jede auch vergißt es.
忘れな草
一輪の小さな花が岸辺に生えている
青い花だ まるで青空のように
波はみな 口づけようと寄ってきて
みな同じように 忘れて去っていく
( 2015.11.17 藤井宏行 )