Schlafendes Jesuskind -Gemalt von Franc.Albani Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier |
「眠るみどりごイエス」〜フランチェスコ・アルバーニの絵を見て メーリケ歌曲集 |
Sohn der Jungfrau,Himmelskind! am Boden Auf dem Holz der Schmerzen eingeschlafen, Das der fromme Meister sinnvoll spielend Deinen leichten Träumen unterlegte; Blume du,noch in der Knospe dämmernd Eingehüllt die Herrlichkeit des Vaters! O wer sehen könnte,welche Bilder Hinter dieser Stirne,diesen schwarzen Wimpern,sich in sanftem Wechsel malen! |
乙女の息子 天の子よ! あなたは 地に積まれた苦しみの木の上に眠る 敬虔な名匠が意味深くも 軽やかな夢の寝床として描いた木の上で; 花のあなたよ いまはつぼみの中にまどろみながら 父なる神の栄光に満たされている! おお、誰が知りえるだろうか この子の額と黒いまつ毛の向こうで ゆるやかに移ろいゆく光景がどのようなものか |
アルバーニ(1578-1660バロック初期のイタリア、ボローニャの画家)の絵は残念ながら見たことがありませんが、大工のヨセフが作業場に積み上げた木の中にたまたま十字架型に組まれたものがあり、その上で幼児のイエスが無心に眠っている、という構図のようです。喜多尾道冬氏はフィッシャー=ディースカウ他のヴォルフ歌曲全集の解説書(グラモフォン)で、メーリケはゲーテの教養小説『ウィルヘルム・マイスターの修業時代』に出てくる類似のエピソードとの関連を指摘しています。フィッシャー=ディースカウ、プライ、ベーア、 シュヴァルツコップ、白井さん(オケ版)、アメリンク、ファスベンダー、ツィーザクなど多くの名唱があり 、変わったところではドイツ民謡や学生歌などを多く録音したエーリッヒ・クンツの録音まであります。
キリスト教系の教育を受けた友人から、普通「処女」「聖母」などと訳されているJungfrauを「おとめ」と習ったと聞いたのがヒントになり考えた末、一般的に訳詩で使われるキリスト教用語をあえて避け、直訳に近い言い回しにしてみました。
( 2002.12.20 甲斐貴也 )