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Zitronenfalter im April    
  Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier
四月の山黄蝶  
     メーリケ歌曲集

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Citronenfalter im April

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Grausame Frühlingssonne,
Du weckst mich vor der Zeit,
Dem nur in Maienwonne
Die zarte Kost gedeiht!
Ist nicht ein liebes Mädchen hier,
Das auf der Rosenlippe mir
Ein Tröpfchen Honig beut,
So muß ich jämmerlich vergehn
Und wird der Mai mich nimmer sehn
In meinem gelben Kleid.

冷酷な春の太陽よ
おまえは時が来る前に僕を起こしてしまった
五月の喜びの中でだけ
僕の柔らかい食べ物は育つのに!
愛らしい娘がやって来て
その薔薇色の唇から僕に
蜜の雫をくれなければ
僕は哀れにも死んでしまうのだ
五月になってももう見ることはできない
黄色の衣装をまとった僕を

 「四月の黄蝶」「四月の黄色い蝶」などと、単に黄色い蝶の意に訳されることのあるZitronenfalterですが、これは我が国にも亜種が生息する山黄蝶(ヤマキチョウ)という特定の種の蝶の名です。この蝶は成虫のまま越冬して初夏に産卵し、夏には夏眠して秋にまた活動するという変わった生態を持っています。冬眠中にも暖かい日があると目覚めて飛び出すことがあるそうで、メーリケのこの季節外れの蝶の詩は、そのような山黄蝶の生態を踏まえて書いたもののようです。薔薇色の唇の愛らしい娘とは、ヤマキチョウが吸蜜する花を指すともとれますが、なにやらユーモラスな詩ですね。ヴォルフの作曲も繊細でユーモラスな悲歌といったものになっています。歌唱は御大フィッシャー=ディースカウ、白井さん。

( 2003.8.20 甲斐貴也 )


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