Listen to the water mill JS122 |
お聞きなさい 水車の調べを |
Listen to the water mill all the livelong day; How the creaking of the wheel wears the hours away. Languidly the water glides useless on and still, Never coming back again to the water mill; And a proverb haunts my mind,as a spell is cast, ‘The mill will never grind with the water that has passed.’ Take the lesson to yourself,loving heart and true, Golden years are passing by - youth is passing,too - Try to make the most of life,lose no honest way, All that you can call your own lies in this today. Power,intellect and strength may not,cannot last - ‘The mill will never grind with the water that has passed.’ O! the wasted hours of life that have flitted by, O! the good we might have done,lost without a sigh, Love that we might once have saved with but a single word Thoughts conceived,but never penned perishing unheard, Take the lessen to your heart,take,O! hold it fast: ‘The mill will never grind with the water that has passed.’ |
お聞きなさい 水車の調べを 一日中 何て水車の軋みは 過ぎ去る時を帯びているのでしょう 物憂げに水は滑って行く むなしく静かに 決して戻っては来ません 水車のところには そしてひとつの言葉が私の心を脅かします まるで魔法がかけられたように 「水車の臼は決して挽かない 流れ去った水では」 自ら学びなさい 愛する心を 誠を 黄金の時は過ぎ去って行きます-若さもまた- 努めなさい 人生を最大限に生かすように 正直な道を失わぬように あなた自身で呼びかけられるものは今日のうちにしかないのです 力は 知力も腕力も ずっと続くことはありません 「水車の臼は決して挽かない 流れ去った水では」 おお!過ぎ去った人生の空しき時よ おお!われらがなせた筈の善きことよ ため息の間もなく失われた たった一言で救われたかもしれなかった愛 思いついても決して書き止められることなく滅び去った思考 あなたの心に留めなさい 留めて おお!しっかりと 「水車の臼は決して挽かない 流れ去った水では」 |
断片しか残っておらず、作曲の由来も時期もあまり良く分かっていないアカペラ合唱曲ですが、サラ・ダウドニー(Sarah Doudney 1841-1926)という人の英語の詩につけています。もっとも世界初録音でおそらく今でも唯一の録音であるドミナンテ合唱団のCD(BIS)では「after Sarah Doudney」とありますので作者も実際のところ不詳なのかも知れません。何もきっかけがなくてシベリウスが英語の詩に曲などつけないだろうということで、彼が初めてイギリスを訪れた1905年ごろの作ではないかということに今ではされています。シベリウスの好きそうな哲学的な詩ですね。ドミナンテの歌声が英語に聞こえないのが残念ですが、歌詞を読みながら聴くとしみじみとしてしまいます。
( 2015.10.18 藤井宏行 )