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Auf einer Wanderung    
  Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier
旅路にて  
     メーリケ歌曲集

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Auf einer Wanderung

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


In ein freundliches Städtchen tret' ich ein,
In den Straßen liegt roter Abendschein.
Aus einem offnen Fenster eben,
Über den reichsten Blumenflor
Hinweg,hört man Goldglockentöne schweben,
Und eine Stimme scheint ein Nachtigallenchor,
Daß die Blüten beben,
Daß die Lüfte leben,
Daß in höherem Rot die Rosen leuchten vor.

Lang’ hielt ich staunend,lustbeklommen.
Wie ich hinaus vors Tor gekommen,
Ich weiß es wahrlich selber nicht.
Ach hier,wie liegt die Welt so licht!
Der Himmel wogt in purpurnem Gewühle,
Rückwärts die Stadt in goldnem Rauch;
Wie rauscht der Erlenbach,wie rauscht im Grund die Mühle!
Ich bin wie trunken,irrgeführt ?
O Muse,du hast mein Herz berührt
Mit einem Liebeshauch!

とある感じのいい小さな町に入って行ったときのこと
赤い夕日が街路を染める中
折りしも開いた窓の一つから
咲き誇る花々を越えて
黄金の鐘のような響きが聞こえてきた
ナイチンゲールの合唱のようにも聞こえるその少女の声に
咲く花々はおののき
そよ風は生きいきとそよぎ
薔薇は一段と紅く燃えあがった

驚きと歓びに胸をつかれて
わたしは立ち尽くしていた
どうやって市門の外に出たのか覚えが無い
ああ、この世界はなんと明るいことだろうか
夕空には真紅の雲が波打ち
振り向くと町は金色のもやに包まれ
はんの木のある小川のせせらぎと谷間に回る水車の音!
わたしは酔いしれたように道に迷ってしまった…
おお、詩神よ、あなたがわたしの心を
愛の息吹でつき動かしたのだ!

メーリケの詩の中でも名作の名高い一つ。旅先で美しい音楽を偶然に聴いた時の感動、おそらく日常自由に音楽を聴くことの出来る現代とは比較にならないものだったことでしょう。その音楽は何だったのか。わたしには、彼の愛したモーツァルトの作品の一節だったのではと思えてなりません。
ヴォルフの作曲も優れ、曲集中でも人気の高い作品になっています。演奏はやはりフィッシャー=ディースカウと白井さん。
2003.9.9改訂 

( 2003.9.9 甲斐貴也 )


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