山づたひ 雑誌「少年倶楽部」のための作品 |
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ひとりさみしい山づたひ わたしはけふもさがします 見たことのない 「幸福(しあはせ)」を 山のむかふのまたむかふ 空のむかふのまたむかふ わたしはいくつ越えてきた 見たことのない 「幸福(しあはせ)」は 山のいづこで唱(うた)ふやら 谷のいづこにすまふやら 知らない山をあふぐとき 知らない谷をのぞくとき わたしのむねは顫(ふる)へてた あかい夕日がなつかしく 山の緑を照らすとき 山には何の声もない わたしは鵠(こう)の巣のそばで 鳥の卵を抱いてゐた なみだながらに抱いてゐた |
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雑誌「少年倶楽部」のための作品
( 2015.09.24 藤井宏行 )