Mignon I Lieder nach Gedichten von J W von Goethe |
ミニヨンT ゲーテ歌曲集 |
Heiß mich nicht reden,heiß mich schweigen, Denn mein Geheimnis ist mir Pflicht; Ich möchte dir mein ganzes Innre zeigen, Allein das Schicksal will es nicht. Zur rechten Zeit vertreibt der Sonne Lauf Die finstre Nacht,und sie muß sich erhellen; Der harte Fels schließt seinen Busen auf, Mißgönnt der Erde nicht die tiefverborgnen Quellen. Ein jeder sucht im Arm des Freundes Ruh', Dort kann die Brust in Klagen sich ergießen; Allein ein Schwur drückt mir die Lippen zu, Und nur ein Gott vermag sie aufzuschließen. |
私に語れとなど命じないで、黙っていろと言ってください 秘密を守ることが私の務めなのですから 私はあなたにこの心の内をみなお見せしたいのですけれど 運命がそれを許してはくれないのです 時が来れば 太陽の歩みが追い払うのでしょう この暗い夜を、そして夜明けとなるのです 頑丈な岩もその胸を開いて 大地に出し惜しみなど致しません その深くに隠された泉の水を 誰でも皆 友の腕の中に安らぎを求めます そこでは悲しみにくれた胸が 自らを溢れさせられるのですから ただたったひとつの誓いが私の唇を閉ざし そして神様だけがそれを開くことができるのです |
『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』第5巻第16章の詩です。参加していた劇団に色々あって、ちょっと休暇を貰い旅に出てしばらく冷却期間を置こうというヴィルヘルムにミニヨンが歌いかけたものです。実際に歌ったシーンが描写されたのではなくて、その時こういう歌がうたわれたのだそうだ、と著者が追記するような形にしているところに余韻が残ります。この曲は激しい心の動揺を描き出しているようです。詩を読んでいただければお分かりのように、少女にしてはかなり決然とした強い意志を歌っているようですからシューマンのように力強いメロディで描くこともできますが、ヴォルフの音楽はもっと内省的。この深淵とさえ言える詩の内容に寄り添ったものとする方がずっと説得力があるように思えます。
( 2015.10.10 藤井宏行 )