Spottlied Lieder nach Gedichten von J W von Goethe |
諷刺の歌 ゲーテ歌曲集 |
Ich armer Teufel,Herr Baron, Beneide Sie um Ihren Stand, Um Ihren Platz so nah dem Thron Und um manch schön' Stück Ackerland, Um Ihres Vaters festes Schloß, Um seine Wildbahn und Geschoß. Mich armen Teufel,Herr Baron, Beneiden Sie,so wie es scheint, Weil die Natur vom Knaben schon Mit mir es mütterlich gemeint. Ich ward,mit leichtem Mut und Kopf, Zwar arm,doch nicht ein armer Tropf. Nun dächt ich,lieber Herr Baron, Wir ließen's bleiben wie wir sind: Sie blieben des Herrn Vaters Sohn, Und ich blieb' meiner Mutter Kind. Wir leben ohne Neid un Haß, Begehren nicht des andern Titel, Sie keinen Platz auf dem Parnaß, Und keinen ich in dem Kapitel. |
わたくし 下賤な身分ゆえ 男爵さま あなたさまの地位が羨ましく存じまする あなたさまのお席はいと王座にお近く そしてまたあまたある結構な荘園に あなたさまの父上のご立派なお城 その狩場にその武器が羨ましく わたくしを 下賤な身分でありながら 男爵さま 羨んでおられるように お見受け致しまする 確かに 大自然の申し子として わたくしめは育ってまいりましたゆえ 少しばかりの勇気と頭で 貧乏ではございますが 屑ではございません さて 考えますに 親愛なる男爵さま わたくしどもはお互い このままで居ませんか あなたさまは偉大な父上の息子として わたくしはわが母の子のままで 相手を羨んだり 憎んだりせず 欲しがったりしないように 互いの肩書を あなたさまは芸術家の真似事などなさいますな わたくしは偉そうになど致しませんから |
『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』第3巻第9章、ヴィルヘルムが関わっていたにわか仕立ての劇団にとあるスノッブな男爵がかかわってきます。自作の劇を上演できると初めは気前良かった男爵ですが、そのうち一部の劇団員だけを贔屓するようになり、一座の中に険悪な空気が流れます。そんな中作者不明のこんな詩が流れます。ヴォルフも快活でユーモラスなメロディをつけました。最初の3曲が重たいだけにこの曲はとても鮮烈に響きます。
( 2015.10.10 藤井宏行 )