ふるさとの |
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ふるさとの 小野の木立に 笛の音(ね)の うるむ月夜や 少女子(をとめご)は 熱きこゝろに そをば聞き 涙ながしき 十年(ととせ)経ぬ 同じ心に 君泣くや 母となりても |
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ベルリン留学中の作品、かの地で耕筰と同宿だった斎藤佳三はじめ何人もの作曲家がメロディをつけている若き露風の甘酸っぱい失恋の詩です。
耕筰のものはかなり実験的な色合いが強いでしょうか。かなり歌いにくそうな半音階的なメロディライン、詩の昂ぶりにあわせたような音楽の爆発、面白いのですがちょっと技巧的に過ぎて聴く者の心に響いて来ないもどかしさがあります。留学中に色々なスタイルを試した中の必ずしも成功とは言えない一品といったところでしょうか。一聴の価値は十分にありますけれども。
( 2015.09.20 藤井宏行 )