信仰と牢獄 |
|
朝は来ぬ 尼は讃えぬ さんたまりあ 昼きたり 大伽藍 鐘ぞ鳴る さんたまりあ ああ夕(ゆふべ) 遂にきたりぬ 尼らみな斉しく嘆く さんたまりあ |
|
ベルリン留学最後の年1913年に書かれた歌曲、当時交響詩作品の作曲にもチャレンジしており、その合間を縫って書かれました。タイトルからしてかなり印象的ですが、音楽も不思議な転調を繰り返しながら繰り返される「さんたまりあ」の言葉が耳に残ります。
留学中だからこそ書けた作品とも言えるのでしょう。耕筰にこんな詩につけた作品があるというのも不思議な感じがするのですが、彼は子供の頃はクリスチャンであり、それが縁で西洋音楽の道に進んだということもあったようなのでまんざら無関係というわけでもなさそうです。
( 2015.09.18 藤井宏行 )