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Ein Stündlein wohl vor Tag    
  Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier
夜明け前の心地よいひととき  
     メーリケ歌曲集

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Ein Stündlein wohl vor Tag

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Derweil ich schlafend lag,
Ein Stündlein wohl vor Tag,
Sang vor dem Fenster auf dem Baum
Ein Schwälblein mir,ich hört es kaum
Ein Stündlein wohl vor Tag:

?Hör an,was ich dir sag’!
Dein Schätzlein ich verklag:
Derweil ich dieses singen tu
Herzt er ein Lieb in guter Ruh,
Ein Stündlein wohl vor Tag.?

O weh,nicht weiter sag!
O still,nichts hören mag!
Flieg ab,flieg ab von meinem Baum!
- Ach,Lieb und Treu ist wie ein Traum
Ein Stündlein wohl vor Tag.

夜明け前の心地よいひととき
床に就いて寝ていると
窓の前の樹の上で歌う一羽のツバメが
わたしにこっそり話した
夜明け前の心地よいひととき

「聞いて、わたしの言うことを
あなたの恋人は不実だわ
わたしがこうしてあなたに歌う間に
別の彼女と抱き合いぐっすりお休みよ
夜明け前の心地よいひととき」

おお、ひどい、それ以上言わないで!
おお、もう聞きたくないわ!
行って、飛んで行って、わたしの樹から!
-ああ、愛も誠もはかない夢のよう
夜明け前の心地よいひととき

「捨てられた女中さん」「アグネス」と同系統の失意の詩。繰り返される「夜明け前の心地よいひととき」の「心地よい」がなんとも反語的で、ツバメのセリフでは皮肉にさえ聞こえます。

メーリケ歌曲集第3曲であるヴォルフの作曲は、第2曲「少年と蜜蜂」と冒頭の4小節がほとんど同じです。そのあと明るくなる「少年と蜜蜂」と違い、こちらはそのまま暗く続いていきます。この二曲をわざわざ続きの番号にしたところを見ると、これは意図的なものでしょう。作曲の日付を見ると、この二曲は「狩人」とともに1888年2月22日の間に作曲されており、当時のヴォルフの爆発的創作力に改めて驚かされます。

名曲「少年と蜜蜂」とどうしても同工異曲に聞こえてしまい、やや単調なせいか比較的録音は少ない方です。有名歌手ではアメリンク(フィリップス)が録音していましたが現在入手は難しいようです。他はマイナーな歌手やレーベルの物が多く、恒常的に手に入る状態でなかったのですが、幸い現在は二種の全集(アルテ・ノヴァ&ハイペリオン)で聴くことが出来ます。珍しいところでは男声でシュライヤーが歌っています(オルフェオ)。

( 2004.04.14 甲斐貴也 )


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