Ein Stündlein wohl vor Tag Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier |
夜明け前の心地よいひととき メーリケ歌曲集 |
Derweil ich schlafend lag, Ein Stündlein wohl vor Tag, Sang vor dem Fenster auf dem Baum Ein Schwälblein mir,ich hört es kaum Ein Stündlein wohl vor Tag: ?Hör an,was ich dir sag’! Dein Schätzlein ich verklag: Derweil ich dieses singen tu Herzt er ein Lieb in guter Ruh, Ein Stündlein wohl vor Tag.? O weh,nicht weiter sag! O still,nichts hören mag! Flieg ab,flieg ab von meinem Baum! - Ach,Lieb und Treu ist wie ein Traum Ein Stündlein wohl vor Tag. |
夜明け前の心地よいひととき 床に就いて寝ていると 窓の前の樹の上で歌う一羽のツバメが わたしにこっそり話した 夜明け前の心地よいひととき 「聞いて、わたしの言うことを あなたの恋人は不実だわ わたしがこうしてあなたに歌う間に 別の彼女と抱き合いぐっすりお休みよ 夜明け前の心地よいひととき」 おお、ひどい、それ以上言わないで! おお、もう聞きたくないわ! 行って、飛んで行って、わたしの樹から! -ああ、愛も誠もはかない夢のよう 夜明け前の心地よいひととき |
「捨てられた女中さん」「アグネス」と同系統の失意の詩。繰り返される「夜明け前の心地よいひととき」の「心地よい」がなんとも反語的で、ツバメのセリフでは皮肉にさえ聞こえます。
メーリケ歌曲集第3曲であるヴォルフの作曲は、第2曲「少年と蜜蜂」と冒頭の4小節がほとんど同じです。そのあと明るくなる「少年と蜜蜂」と違い、こちらはそのまま暗く続いていきます。この二曲をわざわざ続きの番号にしたところを見ると、これは意図的なものでしょう。作曲の日付を見ると、この二曲は「狩人」とともに1888年2月22日の間に作曲されており、当時のヴォルフの爆発的創作力に改めて驚かされます。
名曲「少年と蜜蜂」とどうしても同工異曲に聞こえてしまい、やや単調なせいか比較的録音は少ない方です。有名歌手ではアメリンク(フィリップス)が録音していましたが現在入手は難しいようです。他はマイナーな歌手やレーベルの物が多く、恒常的に手に入る状態でなかったのですが、幸い現在は二種の全集(アルテ・ノヴァ&ハイペリオン)で聴くことが出来ます。珍しいところでは男声でシュライヤーが歌っています(オルフェオ)。
( 2004.04.14 甲斐貴也 )