嘆 |
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別れ来し 堤の上 白き月 水にしたゝり 泣きぬるゝ 並木のすがた・・・ わがあゆみ。 青ざめて 心、ふと、今日も思ひぬ。 「幾人(いくたり)を かくて泣きにし?」- |
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ベルリン留学初年度の1910年に耕筰は歌曲をたくさん書いているようですがこれもそのひとつ。リヒャルト・シュトラウスばりのドイツリートの雰囲気です。特に伴奏のピアノの和音の連打などはそっくりで、ドイツ語の歌詞がついてもまったく違和感のないメロディライン共々、彼がやはり西洋音楽の素養の持ち主だということを実感させる歌ではあります。ご紹介しました露風の詩もそういう意味ではヴェルレーヌの詩でも読んでいるかのような雰囲気。これはそういう点でも実に意味深長なコラボレーションとも言えるでしょうか。
( 2015.09.13 藤井宏行 )