夜曲 |
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吹上の水の音 そよかぜにゆられつつ ただひとりただひとり 夏の夜を嘆きたり あゝ甘し あゝ楽し あゝうれし 寺のかげ水に落ち 柔らかに鳩睡(ねむ)る 月いでて水しろく わが胸にひびくなり あゝ甘し あゝ楽し あゝうれし |
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ヴェネツィアのゴンドラの歌のようにゆったりとした舟歌。歌詞もメロディも日本の歌曲には珍しいでしょうか。もっとも日本的情緒も耕筰らしく全体の雰囲気の中に見事に醸し出させていますので何とも不思議な味わいの歌になりました。声量の豊かな歌い手にかかるとひときわ見事です。関定子さんの録音が絶品でしょうか。
( 2015.09.10 藤井宏行 )