TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


L'île inconnue   Op.7-6  
  Les Nuits d'Été
見知らぬ島  
     夏の夜

詩: ゴーティエ (Théophile Gautier,1811-1872) フランス
    La Comédie de la Mort  Barcarolle

曲: ベルリオーズ (Louis Hector Berlioz,1803-1869) フランス   歌詞言語: フランス語


Dites,la jeune belle,
Où voulez-vous aller ?
La voile enfle son aile,
La brise va souffler !

L'aviron est d'ivoire,
Le pavillon de moire,
Le gouvernail d'or fin ;
J'ai pour lest une orange,
Pour voile une aile d'ange,
Pour mousse un séraphin.


Dites,la jeune belle !
Où voulez-vous aller?
La voile enfle son aile,
La brise va souffler !

Est-ce dans la Baltique,
Dans la mer Pacifique,
Dans l'île de Java ?
Ou bien est-ce en Norwége,
Cueillir la fleur de neige,
Ou la fleur d'Angsoka ?


Dites,la jeune belle,
Où voulez-vous aller?

-- Menez-moi,dit la belle,
À la rive fidèle
Où l'on aime toujours.
-- Cette rive,ma chère,
On ne la connaît guère
Au pays des amours.

答えて、美しい娘よ
どこへ行こうとしているのか?
船は帆を広げ
そよ風も吹いてきた

象牙のオールに
絹の旗
美しい金でできた舵
積み荷にはオレンジ
帆は天使の翼
そして水夫には天使がなってくれる


答えて、美しい娘よ
どこへ行こうとしているのか?
船は帆を広げ
そよ風も吹いてきた

バルチック海へいくのか?
それとも太平洋?
ジャワ島にいくのか?
それともノルウェーに行って
雪の花やアングソカの花を
摘もうというのか?


答えて、美しい娘よ
どこへ行こうとしているのか?

− 「私を連れていって」娘はいった
「人が永遠の愛を誓う
真実の砂浜へ」
− その砂浜はね、娘よ
愛の国の人でさえ
だれも知らないのだ


ベルリオーズの歌曲の代表作「夏の夜」から、夢見るように美しい第6曲(終曲)です。
同じ詩にはグノーも曲を付けていて、ヴェニスの舟歌のような軽やかな歌にしていますが、ベルリオーズのはもっと壮麗な、まさにこれから見知らぬ国への遠洋航海に出ようかというような歌です。もとはピアノ伴奏だったようですが、作曲者自身の編曲になるオーケストラ版がやはり印象的です。
オーケストラ版では、ベルリオーズのスペシャリストといえるようなさまざまな大物指揮者が非常に興味深い歌手との組み合わせで録音しています。この曲だけに限って聴き比べをしてみました。
結構多様な解釈で面白いです。

ベイカー/バルビローリ 熱い。活力溢れる歌唱。伴奏も熱気あふれる
ロス・アンヘレス/ミュンシュ 濃厚な伴奏に軽やかな歌が不思議な魅力
L.プライス/ライナー とにかくオペラティック。パワフル
J.ノーマン/C.デイヴィス ゆったりしたテンポとしっとり感
ミントン/ブーレーズ 意外と雄弁で味わいあり。でも実は緻密
オッター/レヴァイン 流麗だが質感も高い
クレスパン/アンセルメ 色彩感と言葉の響きの美しさ
キリ・テ・カナワ/バレンボイム 残念ながら未聴
フォン・シュターデ/小澤征爾 残念ながら未聴
ということで、それぞれに楽しませてもらいました。

個人的に気に入ったのはクレスパンのとオッター盤
ロス・アンヘレスとミントンの盤もこれらの歌のスタイルが私の趣味に合って非常に面白かったです。

( 2003.10.05 藤井宏行 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ