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En sommardag    
 
夏の日  
    

詩: リンドブラード (Adolf Fredrik Lindblad,1801-1878) スウェーデン
      

曲: リンドブラード (Adolf Fredrik Lindblad,1801-1878) スウェーデン   歌詞言語: スウェーデン語


O,ljuva sommarfläkt,
som mina kinder smeker!
O! huru svalt och täckt
din kyss min tinning rört!
Ditt glada sus jag hör,
då du med blomstren leker,
och mera skön du gör
den dröm,som nyss du stört.

Hör,vilken sång
ur sjö och skogar klingar!
Ack,tysta smärtan ned,
som än min ande tvingar!
Kom,milda sommarfläkt!
Av dina vingar täckt,
ingen glädje jag begär,
men ro mig blott beskär!

Hör,vilken röst
i dina suckar talar!
O! hur mitt kvalda bröst
du tjusar och hugsvalar!
Far,milda sommarvind!
Hälsa till björk och lind!
Deras frid jag njuta fick,
men blott ett ögonblick.

おお 甘い夏の風よ、
私の頬を愛撫する!
おお!なんと冷たく心地よいのだ
お前のキスが私のこめかみにふれて行く!
お前の幸せなつぶやきを 私は聞く
お前が花たちと戯れている時
そして一層心地よくなれるのだ お前が
夢を ただ覚ましてくれる時に

聞け この歌を
それは湖や森から響いてくる
ああ 静めよ この痛みを
私の魂を捕えていた痛みを!
おいで やさしい夏のそよ風よ
お前の翼に包まれて
他の喜びなど 私は求めない
ただ 安らぎだけを私に与えておくれ!

聞け その声を
お前のため息から漏れてくる!
おお!何と私の悩める胸を
お前は魅了し 慰めてくれることか!
行け 穏やかな夏のそよ風よ!
挨拶しながら シラカバやリンデの木に!
彼らからの平安を 私は喜んで得てきたのだ
ただ ほんの一瞬だけ

生年ではシューベルトとシューマンのちょうど間くらいに当たる1801年生まれのスウェーデンの作曲家アドルフ・リンドブラード、その音楽よりも19世紀の歌姫として一世を風靡した同じスウェーデン出身の名歌手イェニー・リンドと愛人関係にあったという逸話のみで知られているでしょうか。その生涯で200曲以上の歌曲を書き、スウェーデン歌曲の父、あるいはスウェーデンのシューベルトなどとも呼ばれているようですが、今や本国スウェーデンではともかく他国ではその言葉の壁からほとんど顧みられることはないでしょう。私も名前だけは知っておりましたが、彼の歌曲を耳にすることは今まで全くありませんでした。この9月、来日するスウェーデンのアンネ・ソフィー・フォン・オッター&カミラ・ティリングが故国の大歌手リンドゆかりの歌曲として、メンデルスゾーンやマイアーベーアのものに加えてこのリンドブラードの曲を3曲取り上げられるということで、ご縁がありましてその対訳をさせて頂くこととなり、フォン・オッターがBISレーベルに入れたこの人の歌曲集録音を聴いてなかなか心惹かれるところもあり、今回訳した3曲の対訳をここでご紹介させて頂くこととしました。彼の歌曲は結構な数、自作のスウェーデン語の詩に曲をつけているようで、今回取り上げた3曲もすべて彼自身の詩によるものでした。
シューベルトの曲よりも少し時代を遡った感じのこの「夏の日」、伸びやかなメロディが楚々として魅力的です。強い印象は残りにくいかもしれませんが味わい深い良い曲です。

( 2015.09.06 藤井宏行 )


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