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Gakoku    
 
ガコク(歌曲)  
    

詩: (,-) 
      

曲: 尹 伊桑 (Yun Isang,1917-1995) 韓国   歌詞言語:


歌詞はありません


韓国の生んだ世界的作曲家ユン・イサン(尹伊桑)は、室内楽の世界で日本の武満徹にも通じるような静謐な現代作品を書きました。
(交響楽の世界では結構政治的に仰々しい作品を書いたりして、それがかつての韓国から政治犯としてドイツに亡命を余儀なくさせられたひとつの理由なのでしょうけれども、室内楽は実に純音楽してます)

この「ガコク」1972年の作品で、声とギター・それに打楽器のアンサンブルということで、現代音楽の作曲家は好んでよく用いるスタイルだと思うのですが、これはなかなか個性的な曲に仕上がったと思います。
というのは武満徹の作品などでも言えるのですが、独特の間の取り方やリズム感がやはり「東洋の伝統」を感じさせずにはいられないというところで、ソプラノの朗誦に時々合いの手を入れる男声と伴奏は、西洋楽器を駆使していても(ギターの響きがとても面白い)、また特に5音音階を使わなくても、私にはこれはやはり東洋の響きにきこえるのです。
(とはいっても、梵鐘の響きを連想させる銅鑼の音などがクライマックスで効果的に用いられて東洋情緒を醸し出していることも確かなのではありますが)
詩は言葉に囚われないように、意味のない音節を付けたのだそうですけれど、やはり何か宗教的な行事を連想させる崇高な響きに仕上がっています。
CPOにあるユン・イサンの室内楽第2集で聴けますが(演奏はL'art pour L'artというドイツのグループ)、この曲のみならずユンの傑作群が色々聴けて(特にフルートの入った作品SoriやNovelletteはとてもいい)なかなか素晴らしい聴き物になっています。

( 2003.06.28 藤井宏行 )


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