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Väinön virsi   Op.110  
 
ヴァイノの歌  
    

詩: カレワラ(フィンランド叙事詩) (Kalevala,-) フィンランド
    第43章 サンポ戦争  

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: フィンランド語


Vaka vanha Väinämöinen
itse maalle mentyänsä
löyti Sammon muruja,
kirjokannen kappaleita
rannalta merelliseltä,
hienoiselta hietikolta.

Saattoi Sammon muruset,
kirjokannen kappalehet
nenähän utuisen niemen,
päähän saaren terhenisen,
kasvamahan,karttumahan,
saamahan,satoamahan
oluiksi ohraisiksi,
leiviksi rukihisiksi.

Siinä vanha Väinämöinen
itse tuon sanoiksi virkki:
“Anna Luoja,suo,jumala,
anna onni ollaksemme,
hyvin aina elääksemme,
kunnialla kuollaksemme
suloisessa Suomenmaassa,
kaunihissa Karjalassa!

“Varjele,vakainen Luoja,
kaitse,kaunoinen Jumala,
miesten mielijuohtehista,
akkojen ajatuksista!
Kaa’a maalliset katehet,
ve’elliset velhot voita!

“Ole puolla poikiesi,
aina lastesi apuna,
aina yöllisnä tukena,
päivällisnä vartijana,
vihoin päivän paistamatta,
vihoin kuun kumottamatta,
vihoin tuulen tuulematta,
vihoin saamatta satehen,
pakkasen palelematta,
kovan ilman koskematta!

“Aita rautainen rakenna,
kivilinna liitättele
ympäri minun eloni,
kahen puolen kansoani,
maasta saaen taivosehen,
taivosesta maahan asti,
asukseni,ainokseni,
tuekseni,turvakseni.
Jottei liika liioin söisi,
vastus viljalta vitaisi
sinä ilmoisna ikänä,
kauna kullan valkeana!”

頑健な年寄りのワイナミョイネン
陸地に自ら戻ってくると
見つけたのだ サンポのかけらを
その蓋の破片を
海辺の岸で
細かな砂の浜辺で

撒いたのだ サンポのかけらを
その蓋の破片を
靄に霞む岬に
霧に包まれる島に
育ち 増えるようにと
豊かに 穫れるようにと
大麦からビールが
小麦からパンが

そこで年寄りのワイナミョイネン
自らこんな風に語った:
与え給え 創造主よ 許したまえ 神よ
われらが幸福でいられるように
常によく生きられるように
立派に死ねるように
すばらしきスオミの国で
美しきカレリアの地で!

「守りたまえ 真の創造主よ
護りたまえ 輝かしき神よ
男どもの敵意から
女どもの悪意から!
守りたまえ 大地の悪より
そして水の魔法より!

「支えでありたまえ 息子たちの
常に子供たちの助けとなりたまえ
常に夜の支えになり
昼には 守護者でありたまえ
太陽が輝くのを止めぬよう
月が照らすのを止めぬよう
風が吹くのを止めぬよう
雨が降るのを止めぬよう
霜がわれらを凍えさせぬよう
悪天候がわれらを苦しめぬように!

「鉄の柵を築き
石の砦を建てたまえ
わが住み家の周囲に
わが民の両端の周りに
大地から天上まで
天上から大地まで
わが住み家を 大切な場所を
わが支えを わが希望を
邪悪な者がわれらを貪らぬように
われらの収穫を台無しにせぬように
時が続く限り
月が金色に輝いている限り」


1926年の作品、オーケストラ伴奏付の混声合唱曲です。何かの祝典のために書かれた曲のようで、晴れやかなメロディが圧倒的なクライマックスを作って盛り上げて終わる音楽はなかなかに感動的です。詩はカレワラの43章から終結部。ポヒョラに神器サンポ(どんなものかは不明だそうですが壺みたいなもののように思えます)を奪い返しに行ったワイナミョイネンは激しい戦いの末その奪還に成功しますが、また奪い返されそうになったサンポを粉々に打ち砕き、海の底へと沈めてしまいます。その破片は海を豊かにし、また打ち上げられた陸地をも豊饒にする働きがありました。国が豊かになることを喜んだワイナミョイネンの喜びと祈りの言葉が語られます。
冒頭のト書きの部分は女声と男声が一行ずつ掛け合いで歌い、そしてワイナミョイネンの言葉になったところで男女一緒に歌います。シベリウス晩年の澄み渡るメロディに祝祭性が加わって、とても印象的な曲となりました。タイトルの「ヴァイノ」はワイナミョイネンをヴァイナモイネンと表記することがあり、その短縮形です。ワイナミョイネンという表記は岩波文庫の木下保氏の訳に従いましたがちょっと分かりにくかったかも知れません。曲の華やいだ雰囲気から「ヴァイノ賛歌」というタイトルにされることもありますが、別にワイナミョイネンを讃えているわけではありませんのでこのタイトルは私は疑問です。

( 2015.08.09 藤井宏行 )


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