子等を思ふ歌 |
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うりはめばこどもおもほゆ くりはめばましてしのばゆ いづくよりきたりしものぞ まなかひにもとなかかりて やすいしなさぬ <反歌> しろかねも こがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも |
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1938年の作品 東京音楽学校の生徒のために書かれた混声合唱曲です。
詩はやはり万葉集 山上憶良の有名な和歌ですが、今となってはこの合唱曲をあまり取り上げる人もいなくなったようです。私が耳にできたのも古いSP復刻盤のみ。
冒頭の出だしが「海行かば」にメロディがそっくりで思わずのけぞってしまいましたが(標準語で「うみ」と「うり」のイントネーションが一緒ですので)、すぐに曲調がマイナーに変わって雰囲気が暗くなります。
本編が終わって一瞬の休止ののち歌われる反歌の部分は壮大なコラールとなって大いに盛り上がります。ばりばりのドイツ音楽風なのがちょっと不思議な感じですが。
( 2015.07.26 藤井宏行 )