痩人を嗤ふ歌二首 |
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石麻呂(いしまろ)に 吾れ物申す 夏痩せに 吉(よし)とふものぞ 鰻(むなぎ)取り食(め)せ 痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻を取ると 河に流るな |
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1933年作曲の無伴奏混声合唱作品。先の大戦の不幸な歴史もあって「海ゆかば」ばかりが有名になっておりますが、信時には他にもたくさん万葉集を題材にした合唱作品があり、これもそんな曲のひとつです。カノン風のつくりでまるでベートーヴェンあたりの合唱作品を聴いているようですが、歌詞は大伴家持のもの(万葉集巻16より)。ユーモラスでおどけた感じがなかなか楽しい曲です。
この頃から夏バテ防止にはウナギを食べると良いという言い伝えはあったのですね(さすがに土用の丑の日はなかったのではないかと思いますが) かなり痩せた人に対して辛辣な歌ではありますが、どことなく愛情も感じられます。ちょっとイジッて見たというところでしょうか。
( 2015.07.24 藤井宏行 )