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?州橋畔口吟    
  春夫の詩に拠る四つの無伴奏歌曲
 
    

詩: 佐藤春夫 (Satou Haruo,1892-1964) 日本
    佐藤春夫詩集−消閑雑詩  ?州橋畔愁夜曲

曲: 早坂文雄 (Hayasaka Fumio,1914-1955) 日本   歌詞言語: 日本語


月いでて
水に映れば
蓬船(とまぶね)に
誰家(たがいへ)の子ぞ
笛を吹く
ひよろ ひよろ 

遊子(いうし)ひとり
橋に佇み
涼かぜに
帽を脱ぎ
うす雲や
思ひ はろばろ


?州(しょうしゅう)は中国福建省南東部にある都市、けっこう歴史のあるところのようです。佐藤は大正9年に台湾旅行をし、その足で対岸の福建省にも渡りこの地を訪れたのだと言います。この詩も「佐藤春夫詩集」に収録されておりましたが、そこでのタイトルは「?洲橋畔愁夜曲」となっていました。異国の夜、岸辺にほのかに聞こえてくる笛の音。何ともエキゾチックな雰囲気にあふれています。
この曲はファウエムのCDの他、Victorの日本歌曲選集にも収録されていて、こちらでは瀬山詠子さんの歌で聴けます。吟詠のような不思議な味わいはもしかしたらクラシックでなく邦楽の歌い手の方がぴったりかも知れませんが、さすが瀬山さんの歌は万全です。いわく言い難い浮遊感と共にこの幻想的な雰囲気を描き出してくれておりました。

( 2015.04.12 藤井宏行 )


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