嫁ぎゆく人に 春夫の詩に拠る四つの無伴奏歌曲 |
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人妻の双のたもとはみぢかしや あはれ
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大正15年、佐藤が35歳の時に出版された「佐藤春夫詩集」に収録。この詩集は先の「うぐひす」はじめ「淡月梨花の歌」や「しぐれに寄する抒情」など彼の詩で歌曲になっている抒情的な詩が集まっています。この詩は(短くてほとんど俳句のようですが)初恋の人が他人に嫁ぐことに際して書かれたものだといいます。
残念ながらまだ耳にできていないのですが、ファウエムレーベルから出ている「日本歌曲集10」に収録されているようですのでいずれ聴いてみたいと思います。
この歌曲集4曲が全部収録されています(前の「うぐいす」の記事ではそんな録音なさそうと書きましたが前言撤回です)。
ということでまだこの曲は聴けていないので分からないのですが、佐藤の原詩ではこの詩句の前に次のような文章が置かれています。伊勢物語を下敷きにしている内容ですね。おそらくこちらは歌には入れられていないと思いますので分けて記載しますが、もし歌詞になっているようでしたら上に書き写したいと思います。
「筒井筒をさなかりしころの友垣の女(め)の童ははやく年たけて
嫁ぎゆくこそ悲しくも甲斐なけれ」
( 2015.04.12 藤井宏行 )