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Vorfrühling    
  Drei Gedichte für Gesang und Klavier
早春  
     歌とピアノのための3つの詩

詩: アヴェナリウス (Ferdinand Ernst Albert Avenarius,1856-1923) ドイツ
      

曲: ウェーベルン (Anton Webern,1883-1945) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Leise tritt auf...

Nicht mehr in tiefem Schlaf,
in leichtem Schlummer nur
Liegt das Land:
Und der Amsel Frühruf
Spielt schon liebliche
Morgenbilder ihm in den Traum.

Leise tritt auf...

そっと起きてみてごらん...

眠りはもう深くはない
軽くまどろんでいるだけだ
横たわっている大地は
そして夜明けを告げるツグミの鳴き声が
すでに麗しい朝の情景を
その夢の中に作りだしている

そっと起きてみてごらん...


一般のクラシックファンにはやや難解という印象のあるウェーベルンの歌曲ですが、この作品は作品番号なしの初期のもので、ロマンティックで聴きやすい佳曲です。この曲との出会いは、なんと矢野顕子さんの歌でした。その昔、彼女がLP時代にこの曲の英語版を高橋悠治の伴奏で録音したことがあり、その顔ぶれのカッコよさに惹かれて、通信販売の限定発売EPセットという不思議なものを購入しました。それ以来いまだに我が家には矢野さんの演奏会や新譜の案内が来ます。彼女の歌も暖かく楽しいものだったと思いますが、残念ながらEP盤をかけるのにつかうアダブターが見当たらず、いまだに手元にあるその盤を聴きなおすことは出来ませんでした。

しかし最近発売されたこれまた日本人による歌唱、そう、白井光子さんのウェーベルン集の冒頭に収められたこの曲は大変美しいできばえです。ウェーベルンの歌曲は藤井さんが先に紹介してくださいましたが、藤井さんのお勧めの盤もこれから聴いてみようと思います。

さてこの詩、ごく短い小品ながら心温まる春の詩ですね。このところヴォルフのスペイン歌曲集の全訳を完成しようと集中しているわけですが、中にはあまり面白くない詩もいくつかあり疲れ気味だったところに、まさに一服の清涼剤といったところでした。

( 2003.04.01 甲斐貴也 )


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