Tulen synty Op.32 |
火の起源 |
Jo oli yö alinomainen pitkä pilkkosen pimeä, oli yö Kalevalassa, noilla Väinölän tuvilla, sekä tuolla taivahassa, Ukon ilman istuimilla. Tukala on tuletta olla, vaiva suuri valkeatta, ikävä inehmisien, ikävä itse Ukonki. Tuo Ukko ylijumala, itse ilman suuri luoja alkoi tuota ouostella, arvelee ajattelevi: Mikä kumma kuun e’essä, mikä terhen päivän tiessä, kun ei kuu kumotakana, eikä päivä paistakana? Astui pilven äärtä myöten, taivahan rajoa myöten, sukassa sinertävässä, kirjavassa kaplukassa, kävi kuuta etsimähän, päivöä tapoamahan, eipä kuuta löyäkänä, päiveä tapoakana. Tulta iski ilman Ukko, valahutti valkeata, miekalla tuliterällä, säilällä säkenevällä. Iski tulta kyntehensä, Järskytti jäsenehänsä Ylähällä taivosessa, tähtitarhojen tasalla. Saipa tulta iskemällä, kätkevi tulikipunan, kultaisehen kukkarohon hopeisehen kehään. Antoi neien tuuitella, ilman immen vaapotella, kuun uuen kuvoamaksi, uuen auringon aluksi. Neiti pitkän pilven päällä, impi ilman partahalla, tuota tulta tuuitteli, valkeaista vaapotteli, kultaisessa kätkyessä, hihnoissa hopeisissa. Hopeiset orret notkui kätkyt kultainen kulisi. Pilvet liikkui taivat naukui, taivon kannet kallistihe tulta tuuitellessa, valkeaista vaapottaissa. Impi tulta tuuitteli, vaapotteli valkeaista. Tulta sormilla somitti, käsin vaali valkeaista, tuli tuhmalta putosi, valkea varattomalta, kätösiltä käänteliän, sormilta somittelian. Taivas reikihin repesi, ilma kaikki ikkunoihin; kirposi tulikipuna, suikahti punasoronen. Läpi läikkyi taivosista, puhki pilvistä pirisi, läpi taivahan yheksän, halki kuuen kirjokannen. |
かくして夜は永遠となり 長き漆黒の闇が カレワラの夜となったのだ ヴァイノラの家々も そして天もまた同じであり ウッコの玉座もまたそうでった 不快なるは火の無きこと 耐え難きは灯りの無きこと 憂鬱となった 人々は皆 憂鬱となったのだ ウッコもまた そこでウッコ 至高の神にして 天の偉大なる創造者は そのことを不審に思い始め じっくりと考えを巡らせた 何が起きたのか 月の行方に 何の邪魔が日の行く道にあるのか 月が輝かなくなり 日が照らさなくなるとは? そこで彼は雲の縁を歩き 天の縁を沿って歩いた 青みがかった靴下をはいて 色とりどりの踵をした靴下を 月を探しに出かけたのだ 日の光を見つけに出かけたのだ だが月は見つからなかった 日の光も見つからなかったのだ そこで火を打ち出した 天のウッコは 焔をきらめかせたのだ 剣より打ち出した 火花散る刃より 爪の先より炎を打ち出し 四肢より火を生み出した 天空高く 星空の広野に こうして炎が生み出されたが 彼はその炎を隠したのだ 黄金の財布の中に 銀の輪の中に 乙女にそれを揺すらせた 天空の乙女に揺すらせたのだ 新しい月を生み出すために 新しい日を造り出すために 雲の上の長い裾で 乙女は大空の縁で その火を掻き立てた 輝きを揺り動かしたのだ 黄金の揺りかごの中で 銀の帯で 銀の支柱が震え 金の揺りかごは揺れ動いた 雲は動き 天は鳴り響き 天の覆いは傾いた 炎を揺さぶっているときに 火を揺らしているときに 乙女は炎を揺らした 火を揺らして掻き立てた 火を指で揺らして 両手で炎を覆った 愚かな乙女は火を落とした 炎が 迂闊な乙女から 揺らしているその手元から 持っていたその指先から 天空は裂けて 大気はすべての窓を開き 火花はこぼれて落ちた 真っ赤な雫が滴り落ちた 天の裂け目を通り抜けて 雲間を抜けて滴った 九つの天空を貫いて 六つの天蓋を突き抜けて |
1902年 ヘルシンキの国民劇場の落成を祝うためのカンタータとして書かれたもので、バリトン独唱と男性合唱に管弦楽伴奏のついた曲です。テキストは彼が何度か合唱作品では取り上げているフィンランドの叙事詩「カレワラ」から。これは第47章「月と太陽の略奪」から一部を取ったものです。老いた竪琴弾きワイナモイネンの演奏を聴きに降りて来た月と太陽とを闇の国ポヒョラの女主人ロウヒはそれを捕らえて山中に隠し、また家々から火と灯りを盗んだのでカレワラは闇に閉ざされます。至高神ウッコはこれに驚き、自ら火花を飛ばして月と太陽を再生しようとします。その火を揺らして育てることを任された乙女は、しかしうっかりしてその火を天から落としてしまいます。47章の前半3分の1ほどの物語、最初の闇に包まれたところからウッコが月と星を探しに行くところまでがバリトン独唱で朗々と歌われ、そこから天界での炎の誕生と落下のところは男声合唱で歌われます。
シベリウス初期作品の旋律美にあふれたとても印象深い曲ですが、フィンランド語の壁かなかなか取り上げられることも多くなく知られざる曲となっている感が強いです。1910年に作曲者自身で改訂が施され、普通はこの改訂版で演奏されます。
( 2015.02.07 藤井宏行 )