うぐひす 春夫の詩に拠る四つの無伴奏歌曲 |
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君を見ぬ日のうぐひす 海近き宿のうぐひす 波の音にまじりなくよ うぐひす ひねもす聴くよ うぐひす うぐひす うぐひす うぐひす |
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早坂には声楽作品はそれほど多くなく、管弦楽や映画音楽の作曲家と呼んだ方が合っているような感がありますが、この「うぐひす」を含む「春夫の詩に拠る四つの無伴奏歌曲」は他の日本歌曲に類を見ない独創的な歌曲として印象に残ります。無伴奏というだけでなく、息の長い、拍子のないメロディで朗々と歌われるこれらの曲はまるで吟詠か何かのように響き、不思議な情感を聴く者に与えるのです。
残念ながら4曲全部がまとめて聴ける音源はないようですが、一番の傑作と言われるこの「うぐひす」については、米良美一さんが見事なカウンターテナーで録音しているものがあります(BIS)。
( 2015.01.09 藤井宏行 )