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Noël ancien   P 90  
  Sei Liriche,prima serie
古いクリスマスの歌  
     6つの抒情歌 第1集

詩: 不詳 (Unknown,-) 
      

曲: レスピーギ (Ottorino Respighi,1879-1936) イタリア   歌詞言語: フランス語


Noël nouvelet,
Noël chantons ici,
Dévotes gens,
Crions à Dieu merci,
Chantons Noël pour le Roi nouvelet.
Quand m'eveillai,
Ayant assez dormi,
J'ouvris les yeux,
Vis un arbre fleuri,
Dont il sortait un bouton vermeillet.
Quand je le vis,
Mon coeur fut réjoui
Car grand' beauté
Resplendissait en lui,
Comme soleil levant au matinet.
D'un angelet
Après les chants ouïs
Qu'aux pasteurs disait:
“Partez d'ici,en Bethléem trouverez l'agnelet.”,
En Bethléem
Marie et Joseph
Vis,l'âne et le boeuf
Près de l'Enfant au lit:
La crèche était au lieu d'un bercelet.
L'étoile y vit
Qui dans la nuit éclaircit,
Qui d'Orient
D'où son éclat jaillit
En Bethléem les trois Rois amenait.
L'un portait l'or
Et l'autre offrait la myrrhe,
Et l'autre encens qu'il faisait bon sentir:
Du Paradis semblait le jardinet!

クリスマスだ 再び新たな
クリスマスだ さあ 歌え
敬虔なる人々よ
叫ぶのだ 神に感謝を
歌え讃美歌を 生まれたばかりの王のために
われが目覚めた時
十分な眠りののちに
われはこの目を開けて
一本の花咲く木を見たのだ
そこには真っ赤なボタンがあった
私が御子を見たときに
この心は喜びに満たされた
なぜなら 偉大な'美しさが
彼の中に輝いていたからだ
まるで昇る太陽のように
ひとりの大天使が
讃美歌を聞いたあとで
羊飼いたちにこう言った:
「急いでここを発ち ベツレヘムで子羊を見つけなさい」と
ベツレヘムで
マリアとヨセフに
会おう 牛やロバに
寝床の上におられる御子のそば
揺りかごの代わりのかいば桶に
あそこに星が見えた
それは夜を明るく照らす
東方の星だ
その輝きがほとばしり
ベツレヘムへと三人の王様を導いて来た
一人は黄金を運び
別の一人はミルラを捧げ
もう一人は良い香りのするお香
天国の庭園のように見えた!


フランスの古い聖歌の詞のようで作者は不詳です。イタリアの作曲家が何でこんなものに曲を付けようとしたのかは調べきりませんでしたが、レスピーギにはけっこうな数のフランス語の歌曲がありますのでそれと同じノリでしょうか。
更に興味深いのはこの詞、1909年に出版された6つの歌曲P.90と1912年出版の6つの歌曲P.97、そのどちらにおいても第4曲目に収録されているのです。あまり離れていない時期に二回も作曲したくなるほどこの詩に愛着があったのか、それとも二つのどちらも捨てがたいメロディができたので、別々の歌曲集に振り分けて出版したのか、たぶん私は後者ではないかと思いますが、
両曲でだいぶ曲想が違っているのがとても面白いです。P.90の方の曲は古典的な佇まいで訥々と流れ、敬虔な気持ちになります。メロディはどこかで聞いたことのあるような懐かしさを感じさせます。ですが鮮烈な中盤の盛り上がりなどはやはり近代。伴奏の研ぎ澄まされた和声も含めけっこう斬新です。
なおオリジナルとおぼしきフランスの古い歌もそこそこ有名なもののようで、ネット上を探すと色々なアンサンブルで演奏されているものを見つけることができました。こちらは翳りを帯びた古代旋法で素朴そのものです。

( 2014.12.20 藤井宏行 )


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