Sleep |
眠り |
Come,Sleep,and with thy sweet deceiving Lock me in delight awhile; Let some pleasing dreams beguile All my fancies; that from thence There may steal an influence All my powers of care bereaving. Though but a shadow,but a sliding, Let me know some little joy! We that suffer long annoy Are contented with a thought Through an idle fancy wrought: O let my joys have some abiding! |
来れ、眠りよ そして甘美な偽りをもって 私をつかのまの楽しみの中に閉ざしてくれ 好ましい夢で わたしの想像力を喜ばせ その憂いを忘れる力を 強めてくれ たとえそれが影にすぎなくても、 かりそめにすぎなくても、 小さな喜びを与えておくれ! 長く苦しんでいる人間は 貧しい想像力の作り出すものでも 満足するのだ おお、私の楽しみよ、いま少し留まってくれ |
ウォーロックは近代の英国の歌曲作曲家ですが、この作品は詩にエリザベス朝の物を用い、ダウランドを思わせる歌曲です。それもそのはず、彼はダウランドの歌曲集の編集をしていたそうです。
この作品は小節線を排した記譜法による、詩の韻律を重視したものだそうです。楽譜は見ていませんが、聴いてみてもそのような自在さは感じられます。
*アップショウ(ソプラノ)&ギャレット(ピアノ)(ノンサッチ) >アルバム「ホワイトムーン」
*イアン・パートリッジ(テノール)&J.パートリッジ(ピアノ)(エトセトラ)
ドーン・アップショウの名盤「ホワイトムーン」のトップに置かれています。さすが万全の歌唱です。わたしはこれが出るまでパートリッジを聴いていましたが、これも素晴らしいです。ドーンほど洗練されてはいませんが、バロック以前の得意な彼らしく古雅な味わいを良く出しています。
( 1998.08.05 甲斐貴也 )