枇杷の花 |
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枇杷の花に、枇杷の花に、 祭があるよ。 ひだまりに、ひだまりに、 何かなるよ。 のぞいたら、のぞいたら、 小いさい祭よ。 蜜ばちが、蜜ばちが、 祭してるよ。 何かしら、何かしら、 うれしいのだよ。 風なども、風なども、 祭にくるよ。 ぶよぶよと、ぶよぶよと、 たいこのやうだよ。 光るひる、光るひる、 祭つてゐるよ。 |
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1913年生まれの愛知県出身の童話作家・新美南吉の詩です。彼は29歳の若さで亡くなりましたが、「ごんぎつね」などの童話の他にたくさんの詩を残しました。
そんな中の一篇に湯山昭が曲をつけたのがこの「枇杷の花」です。1991年に南吉の出身地愛知県半田市のロータリークラブ創設40周年を記念した新美南吉を冠したコンサートで初演するために委嘱されて書かれたものなのだそうで、その年の一月に眞里ヨシコ、ポニージャックスに半田の市民合唱団らによって歌われたのだとか。
残念ながら彼らの歌を耳にすることはできないのですが、1996年に「さくら伝説 湯山昭の世界」というCDがVictorより出ており、その中で吉田浩之(Ten)・三原剛(Br)というすばらしいコンビでため息が出るくらい抒情的に歌われたものを聴くことができました。素朴で愛らしいこの詩に端正にして流麗な音楽が付いてとても魅力的です。
( 2014.11.14 藤井宏行 )