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雨の言葉    
 
 
    

詩: 立原道造 (Tachihara Michizou,1914-1939) 日本
      雨の言葉

曲: 溝上日出夫 (Mizokami Hideo,1936-2002) 日本   歌詞言語: 日本語


わたしがすこし冷えてゐるのは
糠雨のなかにたつたひとりで
歩きまはつてゐたせゐだ
私の掌は 額は 湿つたまま
いつかしらわたしは暗くなり
ここにかうして凭れてゐると
あかりのつくのが待たれます

そとはまだ音もないかすかな雨が
人のゐない川の上に 屋根に
人の傘の上に 降りつづけ
あれはいつまでもさまよひつづけ
やがてけぶる霧にかはります……

知らなかつたし望みもしなかつた
一日のことをわたしに教へながら
静かさのことを 熱い昼間のことを
雨のかすかなつぶやきは かうして
不意にいろいろにかはります
わたしはそれを聞きながら
いつかいつものやうに眠ります



ヴェルレーヌの詩につけたドビュッシーの歌曲を思わせるような詩と音楽です。溝上日出夫歌曲集CDで桑原知子さんの熱唱で聴くことができました。ピアノの水谷真理子さんも好演です。最後の消え行く余韻の残し方など最高でした。

( 2014.11.14 藤井宏行 )


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