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赤いかんざし    
 
 
    

詩: 貴志康一 (Kishi Kouichi,1909-1937) 日本
      

曲: 貴志康一 (Kishi Kouichi,1909-1937) 日本   歌詞言語: 日本語


赤いかんざし何故もの言わぬ
あたいがこんなに想てる事を
せめてお前が言わしゃんせ

赤いかんざし涙に濡れて
何でそんなに悲しそう
天神祭りの篝火を
お前はちゃんと忘れたか

初めて逢うたあの人に
優しい声を掛けられて
ふとした想いが恋になり

忘れよ とても恋ゆえに
想い詰めたこのあたい
誰がこの恋知るものか

赤いかんざし何故もの言わぬ
あたいがこんなに想てる事を
せめてお前が言わしゃんせ



かなりマニアックな人気を誇るからでしょうか、この貴志康一の歌曲、自主制作レーベルのようなところから出ているものがほとんどであまりメジャーな人が歌った録音はないのですが、この「赤いかんざし」には松本美和子さんの録音があります。山田耕筰の「からたちの花」や梁田貞の「城ケ島の雨」、中田喜直の「ちいさい秋みつけた」などに並んで、堂々の「松本美和子 日本の名歌を歌う」というCDです(Victor)。この貴志康一の歌曲、平井康三郎の先駆者としてその濃密な日本情緒に持ち味がありますが、彼女のように端正かつ表現力豊かに歌いこまれると実に良い歌だなあ と感動させられます。
大阪の商家のお嬢さまでしょうか。何ともかわいい恋の歌ですね。ゆったりとした嘆きが一瞬「天神様」のところで畳みかけるように激しくなるのが印象的です。著作権も切れていることですし、もっと多く取り上げられても良い作品だと思います。

( 2014.11.14 藤井宏行 )


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