小譚詩 立原道造の詩による四つの歌曲 |
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一人はあかりをつけることが出来た そのそばで 本をよむのは別の人だった しずかな部屋だから 低い声が それが隅の方にまで よく聞こえた(みんなはきいていた) 一人はあかりを消すことが出来た そのそばで 眠るのは別の人だった 糸紡ぎの女が子守の唄をうたってきかせた それが窓の外にまで よく聞こえた(みんなはきいていた) 幾夜も幾夜もおんなじように過ぎて行った…… 風が叫んで 塔の上で 雄鶏が知らせた ――兵士(ジアツク)は旗を持て 驢馬は鈴を掻き鳴らせ! それから 朝が来た ほんとうの朝が来た また夜が来た また あたらしい夜が来た その部屋は からっぽに のこされたままだつた |
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立原道造の詩による四つの歌曲
( 2014.11.07 藤井宏行 )