Un grand sommeil noir |
巨大な黒き眠りが |
Un grand sommeil noir Tombe sur ma vie: Dormez,tout espoir, Dormez,toute envie! Je ne vois plus rien, Je perds la mémoire Du mal et du bien... O la triste histoire! Je suis un berceau Qu'une main balance Au creux d'un caveau: Silence,silence! |
巨大な黒き眠りが わが命の上に降りてくる 眠れ、すべての希望よ 眠れ、すべての羨望よ もはや何物も見えない 私は記憶をなくしたのだ 悪の記憶も 善の記憶も... おおなんと悲しき人生! 私はゆりかごだ 一本の手で揺らされる 小さな穴倉の底に置かれた 静かに、静かに! |
ヴェルレーヌの詩集「智慧」より。ランボーに対する傷害罪で収監されたヴェルレーヌの絶望の歌です。オネゲルやラヴェルに同じ詩につけた歌曲があります。
ヴァレースの作品は1906年の作曲。若き日の曲ということもあるのでしょうか。意外なことにラヴェルやオネゲルの作品よりもメロディアスで聴きやすいです。鐘かはたまた胸の鼓動を現すかのようなピアノの重々しい連打に乗せてつぶやかれるメロディが美しいです。Antony Beaumontという人の編曲によるオーケストラ伴奏版もあってこれもなかなかに面白い出来。
( 2014.11.02 藤井宏行 )