寂しき春 抒情小曲集 |
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したたり止まぬ日のひかり うつうつまはる水ぐるま あをぞらに 越後の山も見ゆるぞ さびしいぞ 一日いちにちもの言はず 野にいでてあゆめば 菜種のはなは 遠きかなたに波をつくりて いまははや しんにさびしいぞ |
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自然の中で孤独を噛みしめる、多くの方が犀星の詩に抱いているイメージの典型と言えましょうか。私もこの詩は子供の頃からなぜかなじんでいましたので(今でも暗誦できる数少ない日本の詩のひとつです)、こうして清水脩が歌曲にしてくれていたのを知り大変嬉しい思いでした。もっとも詩の情感はもっと日本民謡風の朴訥なメロディを予想していたのですが、もっと流麗な洋風の朗唱となっていました。これはこれで印象的ですが。
( 2014.10.24 藤井宏行 )