月草 抒情小曲集 |
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秋はしづかに手をあげ 秋はしづかに歩みくる かれんなる月草の藍をうち分け われは青草に座りて かなたに白き君を見る |
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一転して第2曲は秋のちょっとわびしい情景、秋が親しげな友人のように描写されています。かなたに見る「白き君」というのは秋のことでしょうか(恋人の姿という解釈もあるようですが)。なおこの曲では、「藍をうちわけ」のあと、原詩では「つめたきものをふりそそぐ」とある行が歌では省かれています。
曲はシャンソンのような、洒落た、そしてちょっと寂しげなもの。
そこかしこにある微妙な転調がけだるい侘しさを紡ぎ出しています。
( 2014.10.24 藤井宏行 )