Le foyer |
暖炉 |
Le foyer,la lueur étroite de la lampe; La rêverie avec le doigt contre la tempe Et les yeux se perdant parmi les yeux aimés ; L'heure du thé fumant et des livres fermés ; La douceur de sentir la fin de la soirée ; La fatigue charmante et l'attente adorée ; De l'ombre nuptiale et de la douce nuit, Oh ! tout cela,mon rêve attendri le poursuit Sans relâche,à travers toutes remises vaines, Impatient mes mois,furieux des semaines ! |
暖炉 ランプのかぼそい光 夢見心地 彼女の額に触れながら そして瞳は愛の眼差しに半ば惑いながら 沸かしたお茶と閉じた本の時 夕暮れの終わりのやさしき想い 魅惑的な疲労感 待つことの憧れ 結ばれる暗闇を 甘美なる夜を ああ!このすべてを ぼくの夢は追い求める 疲れを知らず 空しく待ち望むのだ 耐えがたきぼくの月々 激しき日々を! |
フォーレがその中からいくつかの詩を選び、彼の代表的な歌曲集としたことで知られているヴェルレーヌの詩集「やさしき歌(よき歌)」。これはその詩集の14番目の詩です。他の人気の詩に比べると歌として取り上げられる人も多くなく、フォーレの歌曲集でも取り上げられておりませんが、恋する男の焦燥感を実にうまく表している詩のように思います。恋する人が家に訪ねてきてくれて、そして夕暮れにお茶を一緒に飲む...そのあとのことを夢想して想像力は思わず暴走してしまう、といったところでしょうか。
この詩に曲をつけた数少ないひとりであるガブリエル・デュポンの歌ですが、意外と穏やかに暮れゆく夕暮れを味わっているかのような曲想です。最後はほんのりと焦燥感を見せますが、最後まで激しくなることなく静かに終わります。
恐らくこの曲が聴ける唯一の録音であるTimpaniレーベルにあるDupont歌曲集ではメゾ・ソプラノの歌手(フロランス・カッツ)にしっとりと歌われていることもそんな印象を受けた原因でしょうか。
( 2014.10.16 藤井宏行 )